食品膜・分離技術研究会(MRC)25年のあゆみ―総集編― 食品膜・分離技術研究会 会長 渡辺敦夫(農学博士) 連絡先:〒332-0015 川口市川口1-1-3-3211 e-mail:mack80wata@uu.em-net.ne.jp 1.はじめに 1989年(平成元年)に設立された食品膜技術懇談会(MRC)は発展的に食品膜・分離技術研究会(MRC)と名称変更し、本年で設立25年を迎えました。盛況のうちに四半世紀もの長期にわたり研究会活動が継続されてきたことを会員の方々とともに慶びたいと存じます。この間、MRCを支え続けて下さったMRC役員・実行委員ならびに会員各位、さらに食品膜・分離技術に携わりMRCの活動に暖かい御支援を賜った方々、貴重なご講演を戴いた講師の先生方に厚く御礼申し上げます。 筆者は、設立時から代表幹事、副代表幹事、副会長、そして現在は会長として、官・産・学と立場を変えながらもMRCの活動を通じて食品産業における膜・分離技術の発展過程をつぶさに見てきました。そこで、設立25年を記念して食品膜・分離技術研究会発展の歴史をたどりながら、今後の膜・分離技術の研究・開発方向を皆様と共に考えてみたいと思います。 2.我が国の食品膜・分離技術発展の歴史 2.1 膜・分離技術の黎明期 わが国の食品産業における膜技術は、1970年に日本食品工業学会のシンポジウムの一つのテーマとして逆浸透(RO)が取り上げられて以来、農水省食品流通局の外郭団体である食品産業センター(以下、食産センターとする)と農水省食品総合研究所(以下、食総研とする)が研究開発をリードしてきました。九州大学・農 野村男次先生も精力的に食品・バイオ分野での膜技術の研究に取り組んでおられました。筆者は、その後、主査野村先生、副査筬島豊先生と上田誠之助先生の審査を受け学位を授与されています。当時、食総研・食品工学部長であった木村進先生に連れられて、食産センターでの膜技術に関する会議に出席し、東大・工 木村尚史先生や日本真空(株)におられた橋本光一さん等の産業界の各氏の話を聞くなど、食品産業界での膜技術の開発動向を勉強することができました。当時の研究については、食産センター技術研究報告の特集「分離技術」1)にまとめられているのでご覧下さい。 電気透析については、1963年頃より育児用粉乳の脱塩に関する研究が開始2)されているので、食品分野での膜技術はこの時代まで遡るべきかもしれませんが、ここでは圧力を駆動力とする膜技術を中心に述べるので上記のように考えておきます。サントリーは、1967年に精密ろ過技術を利用した瓶詰生ビール『純生』を府中工場で製造、発売しています。筆者は、この年東京農工大学大学院修士課程に在学しており、学部3年の工場見学に同行し当時最先端の瓶詰生ビール『純生』を飲ませて頂きました。この時は、よもや、社会に出てから膜技術を専門とする研究者になろうとは予期していませんでした。 食産センターの研究からみると、大豆タンパクの膜分離,逆浸透(RO)による果汁の濃縮と用水処理、澱粉糖製造への膜技術の利用、澱粉および大豆加工排水からの有価成分回収などの研究に次いで、「膜の保守管理に関する研究」が1970年代に行われています。この研究は東大・工 木村研究室で筆者が主となり行ったものです。この当時は酢酸セルロース膜しか開発されておらず、熱殺菌や塩素剤による洗浄殺菌が行い難く、また膜モジュールや装置のサニタリー性に関する設計も充分でなく、膜装置の衛生管理が不十分になりやすく食品品質に大きな問題を残す状況でした。 余談ですが、この時、のちに東大教授となられた中尾真一先生(現・工学院大教授)は木村研究室の修士課程に在籍しておられ膜の作り方を教えて頂きました。また、上記の実験で使用した膜モジュールは酢酸セルロースをアセトンに溶解しガラス管の内面に管状に製膜した後、管状モジュール化、熱処理を自分で行ったものでした。 2.2 膜技術実用化における模索期 膜・エンジニアリング会社は色々な分野に膜技術を応用してみたものの、食品は多成分溶液であり膜面にファウリングを起こしやすく、一般に、食品加工装置は1日1回洗浄殺菌しなければ食品品質が低下してしまうことを十分理解してなかったため、膜装置の保守・衛生管理が充分にできず実用化が進み難くなったため一端踏みとどまり、洗浄・殺菌に関する基礎的研究を進めざるを得なくなりました。 このことを示すひとつの例として、1974年頃に、ベビーフードを製造していた豊橋の会社から、ジュース類の濃縮にROを取り入れたが微生物が膜モジュール内で増殖してしまい製品品質が著しく低下してしまうので何か良い対策がないだろうかと云う相談を受けたことがあります。我が国においてようやく研究の緒に付いたと考えていたROが多分予備検討も十分にされないまま、技術的にも十分と思われない中小規模の会社に実用規模の装置が既に導入されていることに驚きました。この会社はその後、ベビーフードを飼料と偽り放射線殺菌をしていたことが発覚し社会的問題を起こしたと記憶しています。 膜装置内の衛生状態を良好に維持するためには、装置内での微生物の増殖を阻止3)することが必要であり、デッドスペース内の食品成分と膜のファウリング成分の除去、更に膜装置内の殺菌を行うことが必要です。また、ファウリング成分の除去は膜機能の維持回復の面からも必要であり、膜表面および内部の洗浄の研究と同時にファウリング機構解明の研究4)5)が必要であると強く認識されるようになりました。 膜装置内の保守・衛生管理の重要性は、今では、膜を利用する場合の常識ですが、当時は、膜・エンジニアリング会社は食品を知らず、食品会社は膜を知らない状況であり、両者の理解が進んでいればしないですんだ失敗をしながらの研究開発であったように感じていました。そこで、食品会社が膜を学び、膜・エンジニアリング会社が食品を学ぶ研究会が必要と考え、東大の木村先生に相談しチャンスが有れば膜技術に関する研究会を設立する承諾を頂いていました。 しかしながら、1982年に農水省流通局の助成で食品産業膜利用技術研究組合(以下、膜研究組合とする)が設立されたため、筆者が描いていた研究会の設立を延期し、研究組合の活動が終了するまで待つことにしました。なぜなら、農水省の食総研と流通局とが膜技術開発に関する研究会とプロジェクトを並行して動かしては、関連する民間企業・大学にとって迷惑であり社会的にもおかしいと考えたからです。 食品分野での膜技術の実用化が始まったのは、1982年に設立された膜研究組合の活動によるとする文献をみることがありますが、実際は、膜研究組合設立までにいくつかの先進的会社は、大きな困難を乗り越えて実用化にこぎ着けていました。我が国で膜技術に関する研究が始まってから、膜研究組合の設立までには、10年以上の年月があります。各社独自の技術開発により実用化と膜装置内の洗浄・殺菌の研究やノウハウの蓄積も徐々にではありますが進み、この面での認識も高まりつつありました。農水省でも、特別研究や大型別枠研究として膜技術を取り上げ、大学も参加したプロジェクトが進められており、食総研、食産センター、大学の協力による基礎研究を進め先進的会社の技術開発をバックアップしていました。 卑近な例を取れば、筆者は1973年頃から膜技術研究に着手し、1976年4月からは食品産業センターからの要請で設計した膜モジュールの洗浄実験装置を東大の木村研究室に持ち込ませていただき性能確認の研究を行い、この年の11月からは米国農務省西部研究所のMorgan所長のもとに科学技術庁長期在外研究員として膜技術研究のため留学し、帰国後は1977年から開始された温州みかんジュースのRO濃縮に関する特別研究を担当する等の研究を行っています。こうした流れの中で、1982年には学位取得、1985年には日本食品工業学会(現・食品科学工学会)の研究奨励賞を受賞させて戴く程度の業績を上げていましたので、膜技術はある程度産業界でも認知され実用化も進んでいました。膜技術の黎明期・模索期に、トライアンドエラーの繰り返しの中で先進的技術開発を行ったパイオニアの方々は、その苦労の割には報われていない感も受け、これらの方々に敬意を表す意味からあえて注意を喚起しておきたいと思います。 2.3 食品産業膜利用技術研究組合の設立 1982年に農水省の助成で設立された膜研究組合は、膜装置のユーザーとしての食品会社とメーカーとしての膜・エンジニアリング会社が相互に足らない点を補い合いながら研究開発を進められるよう、両者がチームを組み、各々の研究テーマに取り組めるようにしました。この考えは、膜研究組合とは全く別のルーツを持つ研究会であるMRCに引き継がれています。表1には食品製造における膜利用技術6)として1985年までの3年間に行われた研究課題と参加企業名、表2に1985年から3年間水処理技術7)への応用として行われた研究課題と参加企業名を示しました。 膜研究組合の活動が開始された頃、製膜技術にも大きな進歩が見られ、複合膜が製造され始め、さらに、過去10年以上にわたる失敗と成功の経験からノウハウの積み重ねもあり、以前より遙かに保守・衛生管理に対する認識も高まり、この面での技術向上が見られるようになっていました。しかし、現在でも,膜装置の保守・衛生管理に問題がないわけではなく、特に、ROにおいては、まだ膜の耐熱性と耐薬品性に問題があり、さらなる改良が求められていることに変わりはありません。 黎明期には、膜の耐熱性・耐薬品性、更に装置設計のノウハウ不足などの理由によりやや伸び悩みの段階でありましたが、既に実用化にこぎ着けていたカゴメ等いくつかの会社は膜研究組合に参加してないところもあります。しかし、膜研究組合は膜技術の発展に大きな貢献を果たし6年間の活動を終了しました。 2.4 食品産業ハイセパレーション・システム技術研究組合の設立 膜研究組合の活動が終了する時点で、次の研究組合をどうしたらよいだろうかとの相談を食品流通局から受けました。折角進んできた膜技術研究を6ヶ年で中断することなくこれを引き継ぐ形が必要であること、またバイオ技術や食品の生理活性成分(機能性成分)研究の発展の中で必要性の高まった分離精製技術の研究を合わせて研究組合を作ろうと云うことになり、発足したのが食品産業ハイセパレーション・システム技術研究組合8)(以下、ハイセパ研究組合とする)で4ヶ年間活動が行われました。 表3にハイセパ研究組合の研究課題と参加企業名を示しました。ハイセパ研究組合では膜技術に加え、超臨界流体抽出技術、晶析技術やクロマトグラフィー等種々の分離技術に関する研究が行われています。しかし、この研究組合の研究成果は、内容が充実しているにもかかわらずあまり知られていない感じがしています。研究内容は機能性成分の分離に加えて、廃棄物からの有価成分の分離等が含まれており、地球環境問題や世界的資源問題を考える上で参考になる内容であり、是非もう一度成果を確認頂きたいと思います。成果が十分広報されていない裏には、実は、ハイセパ研究組合が行われていた1991年4月に私が東陶機器(株)からの求めに応じて食総研を離れてしまったことも原因となっているのでないかと申し訳なく思っていますが、これは考え過ぎでしょうか。 表1.食品産業膜利用技術研究組合研究課題(食品製造における膜利用技術)
表2.食品産業膜利用技術研究組合研究課題(最先端水処理技術への応用)
表3.食品産業ハイセパレーション・システム技術研究組合研究課題 (機能性食品素材の高度分離・精製と開発)
2.5 食品膜技術懇談会(MRC)の設立 食品のように成分が複雑で粘性が高く腐敗・変質しやすい液体を扱う分野で膜技術を実用化するためには、膜・エンジニアリング会社と食品会社の協力が引き続き必要であり、また、地場産業性の高い食品会社に先端的膜技術を普及させるには都道府県の公立研究機関の協力が必要であると考えていました。そこで、膜研究組合の会員に縛られず幅広く民間企業が参加でき、大学、国立・公立研究機関の参加できる研究会を設立したいと考え、産官学の有志により設立されたのがMRCです。 膜研究組合の活動が1988年3月に終了したとはいうものの研究成果を本として取りまとめ公開することや購入財産の管理等の残務処理があるため、膜研究組合は組織として存在していました。そこに、新たに産官学の協力体としてMRCが設立され、活動を開始したので膜組合の事務局(ハッキリ言えば、膜研究組合を助成してきた流通局の技術室)は抵抗を示してきました。『食品企業を束ねる(束ねるという言葉は役所でよく使われる言葉のようです)ことは霞ヶ関でするので、研究所ではしてくれるな』ということでした。膜研究組合からは膜研究組合として参加したいとの申し出がありましたが、MRCは各企業が自由意志で参加して貰うことを原則とするので、この申し出は認められませんでした。なぜなら、MRCは会員の善意で運営される会であり、会員、特に民間企業会員への情報提供を最優先する運営をすることにより長く存続できるものであるが、そこに役所の利益(今問題になっている天下り等)が持ち込まれては、コストもかかると同時に運営がストレートに行かずややこしくなり、MRC本来の活動の目的からはずれてしまうと考えられたためです。 従って、MRCは膜研究組合に参加していた企業も参加していますが、膜研究組合とは全く別の組織として存在しているものであり、他の機関に拘束されることなく、研究会としての理念をハッキリ持った独自の運営をしてきたことが25年間の長きにわたり会員から支持され続けてきた大きな理由であろうと考えています。 設立当時は135社を越える民間企業が参加していましたが、現在は約3分の1程度になってしまいました。しかし、これだけ多数の民間会社が参加する研究会は世の標準からすれば大研究会であり、25年間の長きに渡り、これだけ支持され続けてきた食品製造技術関連の研究会は稀であり、今後の運営に対する責任を感じています。 下表に日本膜学会と日本能率協会が共同で開催してきたニューメンブレンテクノロジーシンポジュームの1990年から2000年にわたる食品産業分野における膜技術に対する参加者数と他の分野の参加者数の変遷を示しました。 1990年の初めは圧倒的に食品バイオ部門への関心が高いことがわかります。1990年代終わりになると膜の値段が低下し造水分野・浄水分野にも普及が広がり始めました。食品部門は2000年をもってニューメンブレンテクロジーシンポジウムから姿を消すことになり、現在に至っています。 この例で分かるように、膜技術が普及始めた当初は付加価値の高い食品を対象として膜技術が発展し、食品産業は推進力として大きく貢献しましたが、膜技術が普及し膜の値段が低下し付加価値の低い造水分野で大量の膜が使われるようになると、膜関連技術者の関心は造水・浄水分野に移り食品産業は取り残される形になってしまいました。 こうした流れは経済動向の動きによる自然なもので、科学技術の持つ宿命であると考えられます。しかし、食品産業においては、大型装置は利用されないでも多くの中小の食品会社で膜を利用するまでに発展している以上、食品会社に対する膜技術の研究開発にかかわる情報発信、また食品会社の膜技術に関連する情報を膜製造会社やエンジニアリング会社へ情報発信する必要があると考えられます。MRCはこの役割を25年間果たし続けてきましたしこれからも果たしていく予定にしています。 2.5.1 春季と秋季、年2回の研究例会の開催 MRCは年に2回の研究例会と年に2回のMRCニュースの発行を主たる業務としてきました。春季研究例会は東京近辺で半日の講演会を行い、秋季研究例会は1泊2日のスケジュールで北は札幌市から南は鹿児島市まで、全国各地で開催させて頂いてきました。各地で開催させて頂いたのは、食品産業を支える地場産業に先端的膜技術を普及させることを目的にしたためで、主として県の試験場の御協力を戴き行ってきたものです。7年前、筆者が新潟大学を退官したため1泊2日の秋季研究例会の開催を変更しました。 表4にMRCの研究例会開催場所と参加人数の変遷を示しました。秋季研究例会は、川口市での1日間の研究例会にしてから参加者数が激減してしまいました。東京近郊以外で見学会も入れて開催して欲しいとの希望もありますが体制が整った時点でこうした試みもしてみたいと考えています。 表4 MRCの研究例会開催場所と参加人数の変遷(延参加者 4324名)
注)第10回・14回・18回・24回秋季研究例会は新潟県食品技術研究会と共同開催 2.5.2 MRCニュースの発行 50巻収録CDの発行の予定 MRCニュースも2013年の12月までで50号の発行が行われています。さらに、田辺代表幹事(当時)が設立20周年を記念して39号までをCDに収録し、『実録―食品膜・分離技術』を作成してくれました。これは、MRCへの貢献度に応じて贈呈あるいは販売されています。 設立25年記念を受け、50巻までのMRCニュースをCDに収録し本年度中には発刊し、このCDはMRCへの貢献度に応じて贈呈あるいは販売する予定です。 2.5.3 食品膜技術講習会の開催 2004年から膜・分離技術に関連する技術者の育成と技術の継承を目的に『食品膜技術講習会』を8月に2日間開催しています。この講習会では全くの初級者とかなり膜技術に精通している方々が混在して受講されている感じを受けましたので、現在は8月には『膜技術講習会』として主として中・上級者を対象にした講習会、1月に『初級者のための膜技術講習会』を開催しています。 膜技術講習会(延出席者数152名)
初級者のための膜技術講習会(延出席者数81名)
2.5.4 食品乾燥・包装技術講習会の開催 2008年より『食品乾燥技術講習会』2009年より『乾燥・包装技術講習会』として2日間の講習会に変更して、若手技術者の育成をはかって参りましたが、現在は中止しています。 3.MRCニュースと研究例会より見たMRCの歩みと膜技術開発の動向 MRC設立趣旨と運営方針、さらに設立にまつわる種々の動きなどについてはMRCニュース1号および21号等に述べてあるので参考にしていただきたいと考えます。ここでは、MRC成長の記録として年代順にその年の状況とMRCニュースおよび研究例会の内容等に関して筆者の思いついたことを述べて見ます。経時的に記述しましたが、途中から研究例会の講演内容がMRCニュースに掲載されることになりました。しかし、研究例会の内容が分かりやすいように、この部分を抜き出し研究例会としてテキストボックス内に記載しました。MRCニュースの内容が乏しくなったわけではないことをご理解下さい。 ―――――――――――木村会長(1989年2月〜1997年4月)―――――――――――― 3.1 1989年度 2月14日に発起人会を開催し、会の名称、基本方針、会則、役員等を決め、その後、民間企業、国公立研究機関、大学等に呼びかけを行い、MRCの組織固めをしました。春季研究例会は、通常であれば5月に開催することにしていましたが、この年は5月にケルンで開催された『国際食品工学会議』に出席する予定にしていたため、設立総会と第1回春季研究例会を6月30日に開催することにしました。国際会議の終了後、筆者が室長を務めていたプロセス工学研究室の室員であった中嶋氏(現在、筑波大学教授)がスイスに留学していたので、二人でドイツの膜事情を数カ所見学しましたが、旅行中に、MRCニュース1号に掲載した運営方針を執筆しました。シュタットガルトで、森永乳業の田村氏達にお目にかかり夕食を一緒にさせていただきMRCの運営方針等に関する考えをお話しし、また希望等の意見を聞かせていただきました。 帰国してからは設立総会の準備とMRCニュース1号の出版等で極めて多忙でしたが、川崎・中西・松尾各氏をはじめとする役員の方々が段取りを丁寧に決めて下さり、当日はスムーズな運営ができました。設立総会には133名の方々に参加していただき膜技術に関する関心の高さとMRCの活動に関する期待を実感することができました。 第1回秋季研究例会は、筑波山の山麓にある青木屋旅館で開催しました。青木屋は食総研として何度か利用したことがあったのですが、いざ研究会を開催する段になり設備を確認したところ、移動式の小さなスクリーンしかなく映写するスライドが見づらいと感じられました。そこで、テーブルクロスを天井から吊り下げ、大型のスクリーンとして使用するなど役員各位のご協力で無事開催することができました。 秋季研究例会は1泊2日で行いますが、初日の交流会(夕食会)の後に分科会を開催して本音の議論を重ねてきたのは、日東電工におられた川崎氏の『研究例会は会社の研修会並みの厳しさが必要である』との意見に従ったものです。また、分科会が終了した後の音楽会(カラオケ)は森永乳業の田村さんの発想により伝統化したもので、Membrane
Research Circle(MRC)が夜になると Music Research Club(同じMRCですが)に変化することになりました。 MRCニュースに関しては、国公立研究機関だよりを掲載しています。食総研のプロセス工学研究室に公立研究所から研修に来ていた方々を中心に執筆していただきました。公立研究所でも膜技術に大きな期待を示していることが分かります。 MRCニュース1号から連続していた国公立研究機関だよりが19号の食総研を持って終了しています。執筆いただいた方は、1号・岡山県工業技術センター・小林東夫氏、鹿児島県農産物加工研究指導センター・馬場透氏、下園かおり氏、2号・青森県水産物加工研究所・福田裕氏、埼玉県食品工業試験場・奥沢洋平氏、山梨県工業技術センター・荻野敏氏、4号・愛知県食品工業技術センター・柴田正人氏、香川県発酵食品試験場・岩崎賢一、5号・静岡県静岡工業技術センター・松本 豊、宮崎県工業試験場・中島忠夫・清水正高、7号・群馬県農産加工指導センター・木村那穂美氏、北海道立釧路水産試験場・大堀忠志、蛯谷幸司、高橋玄夫各氏、8号・富山県食品研究所・加藤肇一・中嶋 実各氏、鳥取県食品加工研究所・野口誠・秋田幸一・小谷
幸敏・影山 拓一各氏、9号・福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター・斉藤 孔男氏、熊本県工業技術センター−・湯之上 雅子氏、11号・岐阜県工業技術センター・刈谷幹治氏、13号・東京都立食品技術センター 三枝弘育氏、14号・和歌山県工業技術センター・中内道世氏、15号・香川県発酵食品試験場・松原保仁氏、16号・埼玉県食品工業試験場・奥沢洋平氏、17号・静岡県茶業試験場・小林利彰氏、18号・岡山県工業技術センター・浦野博水氏、19号・食品総合研究所・中嶋光敏・鍋谷浩志各氏です。 北は、北海道・青森から南は鹿児島・宮崎・熊本まで多くの県の方々に執筆いただいています。都道府県の食品研究所の研究者は数が限られており、多くが農芸化学出身者で占められているため工学的研究を苦手にしていることを考えれば、膜技術は県レベルまで理解していただき利用が広がったと考えて良いように思います。しかしこれに満足せずさらに研究開発と普及に力を尽くしていきたいと考えています。 設立当初は、年に3回MRCニュースを発行する予定にしていましたので、設立初年に3号を発行しています。その後、年3回の発行は事務局の負担が大きくなりすぎるので年2回に変更しました。3号の「膜・モジュール特集号」は、中嶋氏がスイス留学から帰国し、是非膜モジュール特集号を作成したいのでやらせて欲しいとの申し出から生まれたもので、40社の膜メーカーが執筆しています。各会社の膜事業に対する意気込みを感じる内容ですが、25年経った現在は、既に膜事業から撤退してしまった会社も含まれています。大谷・鍋谷氏に加え、中嶋氏が帰国したことによりMRCニュースも、質・量共に充実し設立1年目にしてほぼ基礎が確立したものと考えられます。 MRC News No. 1
1989年6月発行 「食品膜技術懇談会の設立に際して」 MRC会長、東京大学・木村尚史)「食品膜技術懇談会設立までの経過と運営方針」(MRC代表幹事、食品総合研究所・渡辺敦夫) 国公立研究機関だより (岡山県工業技術センター・小林東夫)(鹿児島県農産物加工研究指導センター・下薗かおり、馬場 透) 解説「食品産業における膜技術用語解説」 (食品総合研究所・渡辺敦夫) 「食品産業膜技術用語」(抜粋) (食品総合研究所・渡辺敦夫、日東電気工業・川崎睦男)
「各種ダイナミック膜および無機材質膜とその応用」 (食品総合研究所・大谷敏郎)
MRC News No. 2
1989年9月発行 巻頭言「食品膜技術懇談会への期待」 (東京大学・矢野俊正) 国公立試験研究機関だより (青森県水産物加工研究所・福田 裕)(埼玉県食品工業試験場・奥沢洋平) (山梨県工業技術センター食品醸造部・荻野 敏) 解説「分離膜の標準化と課題」 (横浜国立大・大矢晴彦)「乳業への膜利用」 (森永乳業梶E田村吉隆)「バイオテクノロジーへの膜技術の応用」 (東京大学・川勝孝博・中尾真一)
MRC News No. 3 1989年12月発行 巻頭言「膜・モジュール特集号」の刊行にあたって (MRC会長 東京大学・木村尚史)
1アルファ・ラバル2旭化成工業
3旭硝子 4キュノ 5ダイセル化学工業 6ダウケミカル日本7フジフィルター工業 8富士写真フイルム 9ゲルマンサイエンスジャパン 10グレースジャパン
11潟Cズミフードマシナリ PCI 12栗田工業 13三井石油化学工業 Phone-Poulenc, Tech-Sep14三井東圧機工 DDS 15三井造船
GFT 16三菱レイヨン17三菱レイヨン・エンジニアリング 18森永エンジニアリング Osmonics 19日本アブコー 20日本セメント 21日本ガイシ
22日本メムテック 23日本ミリポアリミテッド 24日本ポール 25日東電工 26 NOK 27オルガノ Romicon 28且O晃商会
Desalination, Film Tech 29住友ベークライト 30住友電気工業 31住友重機械会エンバイロテック Tech-Sep 32TDK
33東レ 34徳山曹達 35東芝セラミックス SCT 36東陶機器 37東洋紡績 38東洋濾紙 39宇部興産 40湯浅電池 Ionics (ABC順) 3.2
1990年度 第2回春季研究例会は、食品業界におけるナノ濾過の将来性に注目しシンポジウム形式の講演会を開催しています。また、第1回秋季研究例会では川崎氏が、ルーズRO膜による調味液処理に関する講演を行っています。当時は、まだナノ濾過という言葉がなく、ルーズROとか、低阻止率逆浸透とか云われていた時代でした。MRCでは『逆浸透と限外濾過の中間領域における高度分離技術』とテーマを設定しています。筆者等は、低阻止率逆浸透膜の有効性にいち早く着目し、明治製菓と共同でフラクトオリゴ等の分画に関する研究を行っていました。 第2回秋季研究例会は関東を離れ膜メーカーが多く本社を構える関西地区でやろうと云うことになり、ダイセルの中西氏、日東電工の川崎氏、大阪市立工業研究所の小山氏等のご協力をいただき大阪で開催されています。これを皮切りに、初期の目標通り全国各地で秋季研究例会を開催することになりました。 この年の4月、筆者は食品産業分野における膜技術研究の成果と膜研究組合等での功績が認められ、「食品加工用膜利用技術の開発」として『科学技術庁長官賞科学技術功労者表彰』を受賞させていただきました。 2003年には田村吉隆氏(森永乳業)と石黒幸雄氏(カゴメ)が、各々「ラクトフェリンの工業的な製造法の開発」と「トマトジュースRO濃縮技術の研究開発と実用化」の功績で『文部科学大臣賞科学技術功労者表彰』を受賞されておられます。受賞記念論文はMRCニュースNo.31に掲載されています。
MRC News No. 4 1990年4月発行 巻頭言「おいしい食品の製造と膜利用技術」 (九州大学・筬島 豊) 国公立試験研究機関だより (愛知県食品工業技術センター・柴田正人)(香川県発酵食品試験場・岩崎賢一) 解説 「逆浸透膜」 (東レ梶E栗原 優) 「ルーズRO膜による調味料処理」 (日東電工梶E川崎睦男) 「国際会議に見る膜のファウリングと洗浄の研究の動向」 (群馬大学工学部・中村厚三)
「ヨーロッパにおける膜のバイオリアクター技術の研究開発動向」(農水省食品総合研究所・中嶋光敏)
MRC News No. 5 1990年9月発行 食品膜技術懇談会顧問、 野村男次先生(元・九州大学農学部教授)のご逝去を悼む (食品総合研究所・渡辺敦夫、日東電工(株)・戸沢修美) 巻頭言「膜ハイブリッドプロセスの経済性」 (大坂大学基礎工学部化学工学科・東稔節治)
国公立試験研究機関だより 「膜とバイオリアクター」 静岡県静岡工業技術センター・松本 豊) 「多孔質ガラスの乳化技術への応用」(宮崎県工業試験場・中島忠夫・清水正高) 総説 「食品加工分野における膜利用技術」 (ダイセル化学工業(株)・中西祥晃) 「廃糖蜜を利用した発酵廃液の脱色」 (オリエンタル酵母工業(株)・村上勝志) 国際会議報告 「国際無機膜会議にみる食品・バイオ分野の研究動向」(農水省食品総合研究所・中嶋光敏) 研究例会報告 「食品膜技術懇談会(MRC)第2回春季研究例会レポート(逆浸透と限外濾過中間領域における高度分離技術)」(農水省食品総合研究所・渡辺敦夫)
MRC News No. 6 1991年1月発行 巻頭言「試験研究用膜装置特集号」の刊行にあたって」 (MRC会長 東京大学・木村尚史) 1 アルファ・ラバル 2 旭硝子 3 旭化成工業 梶@機能膜技術部 4 旭化成工業 梶@交換膜事業部 5 キュノ
6 ダイセル化学工業 7 富士写真フィルム 8 グレースジャパン
9 日立プラント建設 10 イズミフードマシナリ 11 三井石油化学工業
12 三井東圧機工 13 三井造船 14 三菱レイヨン
15 三菱レイヨン・エンジニアリング 16 日本ガイシ 17 日本メムテック
18 日本ミリポア 19 日本ポール 20 日東電工 21 オルガノ
22 住友ベークライト 23 住友重機械エンバイロテック 24 徳山曹達
25 東レ 26 東洋濾紙 27 ザルトリウス 第2回秋季研究例会分科会報告(大阪市) (1990年11月30日〜12月1日) 「膜の総合利用」 A-1-1 (日東電工梶E薮下利男) A-1-2 (鳥取県食品加工研究所・野口 誠) 「ROおよびルーズROの利用」(鹿児島県農産物加工研究指導センター・下薗かおり)
「UF・MFの利用について」 (永田醸造機械梶E伊藤秀明) 「食品産業の新しい膜の開発に望む」(日東電工梶E吉川浩志)「バイオにおける膜技術の新しい利用」(日本ガイシ梶E堀北弘之)
3.3 1991年度 この年、筆者は東陶機器からの求めに応じて、食総研を退職し東陶機器に移籍しました。移籍に際しては、室員の中嶋、鍋谷両氏に相談し、私が移籍しても引き続き事務局をプロセス工学研究室で引き受けてくれること、また、東陶機器には会計業務を東陶機器で引き受けMRCをサポートしてくれる確約を専務取締役から取り移籍することにしました。しかし、会社での仕事が軌道に乗り、部門間にまたがるようになると筆者への情報伝達が遅くなり(社内には足を引っ張る人もいたようです)、筆者の知らない間に約束が破られてしまったようです。 筆者の民間会社への移籍に合わせて、東京大学の矢野先生の許可を頂き代表幹事を矢野研究室の助教授であった宮脇氏にお願いすることにしました。筆者は、移転先の東陶の許可を頂き、副代表幹事として宮脇氏をサポートしMRCを従来通り円滑に運営していくことにしました。 第3回秋季研究例会はバイオ産業への投資に熱意を持って対応していた北海道銀行の下川氏の要請があり、(財)北海道銀行中小企業人材基金との共催により札幌市のプリンスホテルで開催させて戴きました。当時は、バブル経済の終期ではありましたが、銀行資金の裕福さに感心させられたものです。
MRC News No. 7 1991年7月発行 巻頭言「水、食品そして膜」
(東京大学・宮脇 長人) 国公立試験研究機関だより 「限外濾過による桑椹果汁の清澄化」 (群馬県農産加工指導センター・木村那穂美) 「膜リアクター技術によるいわし煮汁からの天然調味料製造」
(北海道立釧路水産試験場・大堀忠志、蛯谷幸司、高橋玄夫) 解説 「ハチミツレモン製造における膜技術」 (渇チ藤美蜂園本舗・伊藤新次) 「膜リアクターによる新しい味噌製造」
(横浜国立大学・松本幹治) 「逆浸透、限外濾過中間領域における高度分離技術開発の展望」(東京大学・中尾真一)「バイオプロダクトの膜分離」(京都大学・松野隆一) 「飲料工業への膜利用」(鹿児島県茶業試験場・江口英雄、食品総合研究所・中嶋光敏) 「油脂工業への膜利用」 (旭電化工業梶E小池誠治、食品総合研究所・中嶋光敏) 海外報告 「ヨーロッパにおける膜および表面分析研究の現状」 (食品総合研究所・大谷敏郎)「アメリカ食品工業界における膜分離の現状」(ミリポアコーポレーション・伏島正健) 会議報告 「ICOM90にみる食品・バイオ分野における膜技術研究の現状」(食品総合研究所・中嶋光敏)
MRC News No. 8 1992年1月発行 巻頭言「膜、雑観」 (東北大学・新井 邦夫)
国公立試験研究機関だより 「膜濃縮果汁を原料としたワインの製造」(富山県食品研究所 加藤肇一・中嶋
実) 「膜利用によるカニ煮汁濃縮エキスの製造」(鳥取県食品加工研究所 野口誠・秋田幸一・小谷 幸敏・影山 拓一) 膜技術周辺機器特集 1.食品用ポンプ 三浦工業 兵神装備 スタンプポンプ
特殊機化工業 2.圧力計 旭計器工業 葛、和電業 樺キ野計器製作所
日本ベーレー 潟Iリエンテック 理化工業 潟Gス・テー研究所
豊田工機 3.流量計 日本フローセル 日東精工 三協パイオテク 4.温度計 旭計器工業5.濃度計 潟Aタゴ 電気化学計器
潟Iートマチック システム リサーチ(エーエスアール) 京都電子工業 セントラル科学 スズキ 雪印乳業 6.熱交換器、配管材等 潟Cズミフードマシナリ 鞄阪製作所 総説 「穀類工業への膜利用」(鹿児島県農業試験場農産物加工研究指導センター・下薗かおり、農水省食品総合研究所・中嶋 光敏)
国際会議報告「国際食品科学技術会議にみる膜技術の動向」(農水省食品総合研究所 中嶋 光敏) 秋季研究例会分科会報告 A-1 「バイオ分野への膜利用(1)」 A-2 「バイオ分野への膜利用(2)」
B 「セラミック膜の利用」 C 「UF膜の利用」 D 「各膜メーカーのユーザーへの対応」 E 「MF膜の利用」 F 「RO膜の利用」 3.4 1992年度 第4回秋季研究例会は、筆者が北九州市で東陶機器の基礎研究所長をしていたことを受け小倉で開催することにしました。開催に当たって、研究例会初日の午前中に役員会を開催するのと平行して地元の方々に無料で膜技術を易しく解説して基礎力を付けていただいた後、研究例会に参加していただくように、基礎講座:「膜利用技術の基礎と応用」の講座を開催することにしました。第1回は筆者と大谷氏が講師を引き受けましたが、筆者が講義をしていると役員会を開催できないので、役員会が始まるまでの30分間の講義を行い、後は大谷氏にお願いせざるを得ませんでした。
MRC News No. 9 1992年8月発行 巻頭言「分離のための最小エネルギーと実際に必要なエネルギー」(京都大学 松野 隆一) 国公立試験研究機関だより 「低阻止逆浸透膜を用いた清酒及び発酵調味料の開発」(福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター 斉藤
孔男) 「膜処理による果実、野菜の清澄化および濃縮試験」 (熊本県工業技術センター− 湯之上 雅子) 総説 「MF膜の現状と今後の動向」(富士写真フィルム(株)松尾 繁) 「製糖・製菓工業への膜利用」(明治製菓 西沢耕治、食品総合研究所
中嶋光敏) 国際会議報告 「第5回 北米膜学会に参加して」(東京大学 山口 猛央)
MRC News No. 10 1993年1月発行 特集 −未来を担う最新機能膜・モジュール− 1.非水溶媒系膜 1.1 現状 (東京大学中尾真一) 1.2 各社の膜 日本ミリポア 日東電工 長瀬産業(Sepracor)
2.荷電膜2.1 現状 (住友ベークライト 伊藤浩志 )(日東電工 池田健一 ) 2.2 各社の膜 日東電工 住友ベークライト
東陶機器 3.アフィニティー膜 日本ミリポア梶@4.回転型膜・モジュール4.1 現状(オルガノ神保尚幸) 4.2 各社の膜
日立プラント建設 日本ガイシ オルガノ 神鋼パンテック ユニテック
ABB Water Filtration Aqua
Technology 5.パーベーパレーション膜5.1 現状 (ダイセル化学 津ヶ谷仁) 5.2 各社の膜 ダイセル化学工業 潟Nラレ 徳山曹達 宇部興産6.減圧・浸漬型膜・モジュール6.1 現状 (日東電工川崎睦男)
6.2 各社の膜 久保田 三菱レイヨン7.脱気膜・モジュール 7.1 現状 (三浦工業本田克久)
7.2 各社の膜 ダイセル化学工業 三浦工業 東レ 8.細胞培養膜・モジュール8.1 現状 (筑波大松村政利) 8.2 各社の膜
旭メディカル 潟Zントラル科学貿易 解説アルコ−ル不溶性固形分測定法による透明果汁の評価 (湘南香料 野坂 互) 3.5 1993年度 第5回春季研究例会は、MRC設立5周年を記念して米国イリノイ大学のチェリアン氏とスェーデン国ルント大学のデジマック氏を招待し下記に示した講演会を行いました。MRCを設立した当時MRCに40社が参加してくれれば食総研に事務員を一人雇い何とか会を運営していけるであろう、また、少なくともMRCニュースを二桁号(10号)まで出版しようと役員会で話し合って発足したMRCが盛況のうちに5周年まで運営できたことを大変嬉しく感じました。 第5回の秋季研究例会は東北大学の新井氏、米本氏および宮城県工業技術センターの鈴木氏のご尽力により仙台で開催させていただきました。東北地方の多くの県に協賛いただき、地元の多くの方の参加を戴きました。 MRCニュースに関しては、11号から研究例会の講演要旨に加筆修正を加え、研究例会に参加できなかった方々への情報提供と講演内容を記録に残すことを目的にMRCニュースに掲載することにしました。従って、本稿では研究例会の発表項目について本来はMRCニュースに掲載されている項目が、テキストボックス内の研究例会報告に移ってしまっている部分があることをご理解いただきたいと考えます。
MRC News No. 11 1993年8月発行 巻頭言「膜工業会の設立を望む」
(横浜国立大学工学部物質工学科大矢晴彦) 国公立試験研究機関だより「限外ろ過膜による生酒の処理」(岐阜県工業技術センター刈谷幹治)
MRC News No. 12 1994年1月発行 巻頭言「膜・モジュール特集改訂号の刊行にあたって」(食品膜技術懇談会代表幹事 東京大学農学部・宮脇長人) 3.6 1994年度 膜技術を利用した新食品が次々と発売されたことを受け、MRCニュース14号では膜を使った製品特集が組まれています。第6回秋季研究例会は、愛知県の研究所におられた柴田氏、名古屋大の白戸先生らのご尽力により名古屋市で開催させていただき178名の参加を得ることができました。この参加者記録がMRCの研究例会では最高記録となっています。
MRC News No. 13 1994年9月発行 巻頭言 「膜利用の広がりへの期待」
(東京大学農学部 中村厚三) 国公立試験研究機関だより 「膜処理によるウスターソースの透明化試験」(東京都立食品技術センター 三枝弘育)
総説 「食品加工における膜技術」(東京大学農学部 宮脇長人・農水省食品総合研究所 中嶋光敏)「無機分離膜による液体系分離の現状」(農水省農業工学研究所
大谷敏郎)
MRC News No. 14 1995年2月発行 巻頭言「韓国膜学会に参加して思うこと」
(横浜国立大学工学部松本幹治) 小特集 −膜を使った製品− (五十音順) 1.味の素株式会社
2.カゴメ株式会社 3.株式会社加藤美蜂園本舗 4.協同乳業株式会社 5.ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社 6.大和化成株式会社 7.森永乳業株式会社
8.雪印乳業株式会社 9.MRC編集部 国公立試験研究機関だより 「電気透析によるしらす煮汁・梅干調味廃液からの有価成分の回収」(和歌山県工業技術センター中内道世) 3.7 1995年度 第2回春季研究例会においては、逆浸透・限外濾過中間領域とされていた分画範囲は、第7回ではナノフィルトレーションとされ、ナノ濾過(NF)という言葉が一般的に利用されるようになってきたことが分かります。 第7回秋季研究例会は、キッコーマンの古川氏のご尽力により野田市の利根川(板東太郎と言われる日本最大級の川)近くのホテルで開催され、キッコーマンの社員の方々の余興も交えた大変にぎやかな研究例会を開催することができました。 膜処理が水道水製造やミネラル水製造に一般的に利用されるようになり、MRCニュース16号では膜と水という特集が組まれています。
MRC News No. 15 1995年8月発行 巻頭言 「膜分離研究と技術について思うこと」(東京工業大学生命理工学部 海野肇) 国公立試験研究機関だより 「豆腐製造工程から副生する大豆煮汁中のオリゴ糖の逆浸透濃縮」(香川県発酵食品試験場 松原保仁) 総説 「韓国における膜事情」(横浜国立大学工学部 松本幹治、ソウル大学天然繊維学科卓泰文)
MRC News No. 16 1996年1月発行 巻頭言 「膜の研究のグローバルな展開に期待する」(東京大学工学系研究科古崎新太郎) 国公立試験研究機関だより「限外ろ過法を用いた米粉糖化調味液の製造」(埼玉県食品工業試験場奥沢洋平) 膜を利用した水処理特集 「膜と水」 「Aquavalue」(旭エンジニアリング梶j 「膜利用型新浄水技術の開発」(国立公衆衛生院 国包章一・眞柄泰基・伊藤雅喜) 「除濁用膜モジュール及びシステムの開発」 (ダイセン・メンブレン・システムズ梶j「膜利用型浄水処理装置」(ディックデグレモン梶j「飲料水製造に使用される膜エレメント」(東レ潟<塔uレン事業部)
「東レ家庭用浄水器“トレビーノ”」(東レ潟gレビーノ事業部) 「超低圧RO造水テスト機:E-100」(日東電工梶j 「高純水製造装置“MILLI RX”」(日本ミリポア梶j「食品工場排水の再利用システム」(日本錬水梶j「ミネラルウォーター製造への精密濾過膜の応用」(ハウス食品工業梶j
「おいしい水の科学」(広島電機大学佐々木健)「食品製造用脱気装置『Zグィジィ』」(且O浦研究所) 「逆浸透膜を利用した海水淡水化設備」 (三菱重工業梶j「食品工場向、膜処理システムについて」(三菱レイヨン梶j「逆浸透膜を用いた純水製造方法」(森永エンジニアリング梶j 3.8 1996年度 1996年4月に筆者は新潟大学からの要請に応じて、同大学大学院自然科学研究科の教授として新潟に赴任しました。東陶においてはセラミック膜モジュールを商品化し、さらに膜利用型浄化槽の研究開発も順調に進め水環境事業推進部を立ち上げ大分県で浄化槽の限定販売を始めるなど、ほぼ私のするべきことが終わった段階と考えていましたので私にとっては大変良いタイミングであったと考えています。日本の会社では一般的なのかもしれませんが、新規事業に関しては推進派と反対派があり、役員会で決定したはずのことが暫くすると覆されることが度々で私と一緒に仕事をしてくれていた人には私の退社で力関係が変化してしまい迷惑をかけてしまったのではないかと懸念しています。 MRC第8回秋季研究例会は2年続きの関東での開催となりましたが、横浜国立大の松本氏と加藤美蜂園の伊藤氏のご尽力により横浜市で開催することができました。 MRCニュース18号は膜装置のメンテナンスに関する特集が組まれており、食品産業での膜利用における大きな障害となってきた装置内の衛生管理に関して有効な回答を与えたものと考えています。
MRC News No. 17 1996年7月発行 巻頭言「膜機能と生物」 佐田榮三(愛知工業大学基礎教育系生物工学) 1 国際膜会議(ICOM'96)プレビュー
中嶋光敏(農水省食品総合研究所)
MRC News No. 18 1997年2月発行 巻頭言 「膜技術との触れ合いとMRCへの期待」木村
進((社)日本パン技術研究所) −特集「膜装置のメンテナンス」−「膜装置のファウリングのメカニズムと洗浄の基礎」
中西一弘・崎山高明(岡山大)「膜装置のメンテナンス」−食品産業膜利用技術研究組合成果論文集にみる−神武正信(山口県立大学)「膜分装置の洗浄と殺菌に関する考察」田辺忠裕(ヘンケルジャパン梶j「中空糸膜モジュールの膜ろ過流束維持と薬品洗浄」熊見和久(ダイセン・メンブレン・システムズ梶j「食品用膜分離装置の設計と管理」今野次雄(旭化成工業梶j「膜装置のメンテナンス」多田直樹(日東電工梶j「膜装置のメンテナンス」柚木徹(日本ミリポア梶j「東レの逆浸透膜エレメントと膜装置のトラブルシューティング」
竹内弘(東レ梶j「中空糸膜を用いた濾過技術及び膜・膜装置の取り扱いについて」小森愼次(潟Nラレ) ―――――――――大矢会長(1997年5月〜20001年4月)―――――――――――― 3.9 1997年度 木村尚史先生が大阪大学を定年退官になることを受けて横浜国立大の大矢晴彦先生が会長に就任されました。 第9回春季研究例会は膜学会との共同開催の形を取ったので、参加者は175名と名古屋の第6回秋季研究例会に迫る数になっていますが、膜学会と食品産業における膜技術利用との接点は極めて少なく学会との共同開催がどれほどの意味を持ったかの評価は難しいところです。MRCは学会とは一線を画す研究会であり実用技術としての研究開発、普及が目的ですので幅をあまり拡げてはいけないし、運営はなかなか難しいところです。 第9回秋季研究例会は、大阪大に移籍されていた初代MRC会長の木村先生の定年退官 との関係もあり、関西地区の膜メーカーであるダイセルの中西氏、日東電工の川崎氏の御協力で大阪で開催させていただきました。大阪での開催はこれが2回目です。木村先生は事情があり当日講演に来られなかったので、木村先生の教え子である大阪大の院生(修士課程)が代わりに講演しましたが、その講演は、内容は勿論として大変落ち着いた立派なものでした。
MRC News No. 19 1997年8月発行 巻頭言 「食品膜技術懇談会の活躍を拝見して」 梶内俊夫 (東京工業大学)
MRC News No. 20 1998年1月発行 巻頭言 「膜利用食品の誕生を期待する」
大矢晴彦(横浜国立大学) 研究室紹介 「横浜国立大学工学部松本研究室」松本幹治(横浜国立大学) 膜・モジュール特集号1. 旭化成工業 2. 旭硝子3. 朝日工機4. 潟Cズミフードマシナリ5.
宇部興産6. オルガノ7. 清本鉄工8. 潟Nラレ9. ザルトリウス10. 神鋼パンテック11. ダイセン・メンブレン・システムズ12. 東洋紡績13.
東洋濾紙14. 日東電工15. 日本アブコー16. 日本ミリポア17. 三井東圧機工18. 三菱レイヨン19. 森永エンジニアリング20. ワットマンジャパン 国際会議報告 「第4回アジア太平洋生物化学工学会議」 市川創作(筑波大学) 3.10 1998年度 この年で、MRCは設立10周年を迎えMRCニュースに10周年記念特集を組んでいます。また、10周年記念事業として食品膜技術の本を出版することにし、筆者が編集委員長の役を引き受けました。これは、筆者が東陶機器に移籍する前に本の出版を考えかなりの段階まで企画を進めていたので、これをベースに企画書をまとめることを考えたためです。編集委員の方々には、休日を利用して編集委員会に参加していただき、翌年の1999年9月30日に無事出版することができました。 第10回秋季研究例会は新潟市で開催することになり、新潟県食品産業協会と新潟県食品研究所に協力をお願いしたところ、若林所長が新潟県食品膜利用技術研究会を設立して下さり、第10回の研究例会に協力していただき盛会の内に開催することができました。当研究会はその後新潟県食品技術研究会(Food
Research Circle in Niigata,略称FC新潟)と名称変更し現在も活発な活動を続けています。 MRC設立時における膜研究組合や農水省との折衝に関しては、MRCニュース21号に詳しく記載しておいたのでご覧頂ければ幸です。
MRC News No. 21 1998年11月発行 MRC設立10周年記念特集号−10周年によせて−
3.11 1999年度 前述した『食品膜技術―膜技術利用の手引きー』を、編集委員と執筆者の協力により光琳から無事出版することができました。600ページに迫る膨大な本を、膜技術者が個人でも購入できるように考え、光琳から7000円で出版して貰ったのは、300部をMRC側で買い取りをしたからです。200部はMRCが購入し会員に1冊ずつ無料で配布しました。100部は、新潟県食品膜利用技術研究会の幹部の方々と相談し私が新潟側で購入し、新潟県食品膜技術研究会関連の方々とその他膜技術関連の方々に配布しました。 ちょうど、出版された9月30日は中国から帰国した直後であり、30日の朝刊を見たらJCOがウランによる被爆事件を起こした記事が載っていました。原子力利用の危険性の現れですが、知り合いの方がJCOの社長をしていたことにビックリしました。新潟での第10回秋季研究例会の見学会において、柏崎刈羽原発発電所の原子炉の上にまで行った段階で、原子力は上手く使えば安全なのかも知れないと原子力利用に対する期待を一時的に抱きました。しかし、翌年のこの出来事で、人間の能力では原子力は使いこなせないのではないか、と考えざるを得ないことになりました。 第11回秋季研究例会は、中村学園大学の太田氏が鹿児島市で開催してはどうかと提案して下さいました。鹿児島には、食総研時代の研修生であった県農産物加工指導センター部長の馬場氏や下園氏がおられ、さらに日本澱粉にはMRCの活動に協力いただいてきた本坊氏がおられるのでお願いしようと云うことで、太田氏に同行し鹿児島に伺い開催させていただけることになりました。その後、馬場氏が重病になってしまわれ、上司である所長の市来氏が研究例会の段取りを整えて下さいました。知覧のさつま焼酎の工場にまで下見に連れて行っていただいたことなど、市来氏には大変お世話になりましたが、私にとっては楽しい思い出になっています。
MRC News No. 22 1999年8月発行 巻頭言 「デンプン糖化業界から思うこと」
頼富憲三郎(朝日工機梶j 研究室紹介「東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻食品工学研究室」宮脇長人(東京大学大学院) 総説 「多孔質膜を用いる乳化と食品への応用」鈴木寛一(広島大学生物生産学部)「新しい醤油製造工程への総合的膜利用の実態」野田義治(福岡県醤油醸造協同組合) 国際会議報告「第25回国際園芸学会報告」大谷敏郎(農水省食品総合研究所)
MRC News No. 23 2000年2月発行 巻頭言に代えて「食品膜技術・これからの研究開発方向」 渡辺敦夫(新潟大学大学院) 研究室だより 「東京大学大学院工学系研究科」 中尾真一・高羽洋充(東京大学大学院) 総説 「界面前進凍結濃縮法−新しい凍結濃縮技術」宮脇長人(東京大学大学院) −膜処理技術特集−食品 「飲料分野への機能水(水素水)の展開」吉澤道雄(オルガノ梶j「多食品への応用可能な膜装置の開発」伊藤新次(渇チ藤美蜂園本舗)「Dead-end濾過とCross-flow濾過の使い分けを考える」
古川俊夫(キッコーマン梶j「食用天然色素への膜精製法の利用」市隆人(三栄源エフ・エフ・アイ梶j「MEMBRALOXセラミックフィルターについて」高橋秀和(東芝セラミックス梶j「振動式膜分離装置の機構とその適用分野」
三浦洋郎(日本ポール梶j「膜分離技術を利用したホエイ由来素材について」 田村吉隆・溝田輝彦(森永乳業梶j「牛乳の精密濾過除菌の現状」佐藤幾郎(森永乳業梶j食品加工用水 「UF・MF膜による水の浄化」小川高史・高村正一(旭化成工業梶j「食品工業の用水処理における膜の適用」
天池英雄(NGKフィルテック梶j「メンブランフィルター法による生菌数試験手順の基礎事項」 南條正仁(日本ミリポア梶j食品加工廃水「振動型膜分離装置によるパン酵母培養廃液の清澄化」谷田克義(神鋼パンテック梶j 第11回秋季研究例会分科会報告1.膜技術の基礎と応用2.食品加工排水処理の問題点と対策3.HACCPと膜4.膜装置の洗浄と衛生管理 3.12 2000年度 第12回秋季研究例会は、食総研プロセス工学研究室の研修生で来られていた埼玉県工業技術センターの奥沢氏と東京農工大の国眼氏に依頼し、大宮市のソニックシティで開催させていただきました。筆者は全国各地で講演させていただいてきましたが、この時の講演が埼玉県での初めて講演でした。埼玉県では、食品工学に関する講演会はあまり開かれておらず、こうした話は東京に出かけて聞けばよいと考えられてきたのでしょうか。埼玉都民と言われる東京に最も近い埼玉県の置かれている立場が分かるように感じられました。しかし、その後、MRCの催し物を毎回川口リリアで開催し、膜・分離・乾燥等の講演会を行っており、食品工学関連の文化を埼玉県に持ち込んでいます。会場が東京駅から電車で25分、川口駅から徒歩1分と便利であることから好評をいただいています。
MRC News No. 24 2000年9月発行 巻頭言 「MRCのさらなる発展を期待する」遠藤 勲(理化学研究所) 研究室紹介 「東京農工大学 国眼研究室」 国眼孝雄(東京農工大学工学部化学システム工学科) 総説 「食品膜技術実用化の現状と今後の研究開発課題」―食品膜技術(褐琳)の出版を終えて―渡辺敦夫(新潟大学大学院)
MRC News No. 25 2001年2月発行 巻頭言 「新しい膜・未来の膜技術」
山口猛央(東京大学大学院工学研究科) 研究室紹介 「森永乳業栄養科学研究所食品開発室」田村吉隆(森永乳業渇h養科学研究所) −膜技術の周辺機器とラボ用膜装置特集−配管材/イズミフードマシナリ梶Aヤスダファインテ ―――――――――――渡辺会長(2001年5月〜現在)――――――――――――――― 3.13 2001年度 横浜国立大の大矢先生が定年退官の後を受けて、筆者が会長に就任致しました。第13回春季研究例会は大矢先生の記念講演「膜技術研究30年を振り返って」でスタートしました。 食品の安全性問題がクローズアップされている世情を受けて、食品の安全性を確保するための技術を中心に講演を行いました。 秋季研究例会は、食総研プロセス研究室に膜技術の研修に来られていた岡山県工業技術センター部長の小林氏と岡山大学の中西氏にお願いして岡山市で開催していただきました。この時、新潟大学大学院に留学してきていたウイグル農業大学助教授のラフマン氏も同行し、研究会が終了した後、岡山城や吉備路等の見学もさせて戴きました。この当時、海洋深層水がブームになっており、逆浸透と電気透析が大規模に利用され、高知県ではかなり華やかに活動を進めていましたが現在はどうのようになっているのでしょうか、興味のあるところです。
MRC News No. 26 2001年9月発行 巻頭言「化学工学と食品工学」伊東 章(新潟大学工学部 化学システム工学科) 研究室紹介「カゴメ株式会社総合研究所紹介」早川喜郎(カゴメ梶@総合研究所) 解説 「最近の膜分離工学−ミニレビュー−」 伊東 章(新潟大学工学部 化学システム工学科) ポンプmini特集 ポンプ解説「食品における膜技術とポンプの役割」 山田佑一(森永エンジニアリング梶j「サニタリーポンプシステム」
潟Cワキ「サニタリー定量ポンプ」 潟^クミナ「ダブルダイアフラムポンプ」 MJエンジニアリング(有)
MRC News No. 27 2002年3月発行 巻頭言「食品屋からみた膜処理技術導入の発想」太田英明(中村学園大学食物栄養学科) 研究所紹介「明治製菓ヘルス・バイオ研究所紹介」西沢耕治(明治製菓潟wルス・バイオ研究所) 3.14 2002年度 MRCニュース28号には、1982年に膜研究組合が設立されてから満20周年を迎えました関係を受け、「食品産業膜利用技術研究組合の設立から20年」の記念記事を掲載しています。 海洋深層水が注目を集めるとそれに関連する水の市場が刺激を受けます。かつての遠赤外線ブームの時も遠赤外線セラミックスを放射するシートの上に水を置くと水のクラスターが小さくなって味が良くなるという非科学的な情報が、その科学性をキチンと検証しないで報道するマスコミを賑わしたことがあります。こうした意味から、水の構造を改めて勉強する意味で春季研究例会を企画しました。海洋深層水とは、海面から200メートル以深の海水のことで、海洋で浄化された水ですから不純物が少なく適度な脱塩をすることによりミネラルが補給でき、これを好む人が飲むことには問題がないものと考えられます。 第14回秋季研究例会は、新潟県食品膜利用技術研究会の協力を得て新潟で開催させていただきました。佐渡においても海洋深層水の脱塩に逆浸透と電気透析装置を導入し飲料水の製造を行っているので研究会の見学会が終了した夜、佐渡汽船で佐渡に渡りいこいの宿に泊まり翌日海洋深層水の取水場と膜装置を中心に見学させていただきました。九州から講演においで頂いた筬島先生も参加して下さり、楽しい見学旅行となりました。畑野町の町長はじめ多くの方々に大変お世話になりました。『海は荒海、向こうは佐渡よ』と詩に詠われているように、日本海は11月にはいると海が荒れやすく、帰りの船がもう1本遅くなっていれば欠航となり、予定通りには本土にたどり着けない状況でした。 しかし、参加した約20名の方々は皆さん佐渡ツアーを満喫されたようで、こうした催しも研究例会へ参加する楽しみのひとつと考えられます。時間と共に、公設研究所の友達も減り東京を離れた研究例会を開催し難くなり現在は川口で1日だけの研究例会に切り替えていますが、チャンスを作り東京を離れた研究会を開催したいと考えています。
MRC News No. 28 2002年10月発行 巻頭言「駿河湾深層水のこれから」須藤 雅夫(静岡大学工学部) 研究所紹介「味の素株式会社 発酵技術研究所紹介」佐藤 武(味の素梶@発酵技術研究所) 寄稿「食品産業膜利用技術研究組合の設立から20年」渡辺敦夫(食品膜技術懇談会 会長) 特集・市販膜一覧 掲載膜メーカー一覧 精密濾過(MF)膜,限外濾過(UF)膜,ナノ濾過および逆浸透(NF・RO)膜,イオン交換(IE)膜
MRC News No. 29 2003年3月発行 巻頭言「ユーザー側から体験した膜技術」神武正信(山口県立大学生活科学部栄養学科) 研究所紹介「エコラボ株式会社 ジャパンテクニカルセンター紹介」田辺忠裕(エコラボ梶j 寄稿 「育児用ミルク開発と膜分離技術に携わって」田村吉隆(森永乳業梶j 3.15 2003年度 MRC名誉会員である山口県立大学の神武氏(元・雪印乳業)が大学を退職するこのことで、同氏が膜技術に込める思いの熱さを『膜技術27年−膜には無限の可能性がある−』と題して講演していただきました。 MRCニュース30号ではMRC設立15周年を記念して特集号を企画しました。この中で、大矢前会長の書いておられる「Sourirajanと非対称膜の発明まで」は膜技術のパイオニアだけが書ける内容ですので是非再読いただきたいと考えます。多くの方々にご執筆いただきましたが、こうした多くの思いに支えられ食品産業における膜技術が成長してきたことが分かり、ご支援いただいた方々に改めて厚く御礼申し上げます。 第15回秋季研究例会は、静岡県工業技術センターの松本氏、土肥氏、静岡大学の須藤氏等の御協力により静岡市で開催させていただきました。静岡県は講演テーマに見るように、「NF膜による茶抽出液中のアミノ酸とカテキンの分離」「膜技術による水産エキスからの機能性ペプチドの開発」「焼津市における駿河湾深層水の利活用に向けた取組みについて」等の研究が行われており膜技術に関するアクティビティーの高い県でありMRC会員も多い県です。 この年は、筆者が日本食品科学工学会賞を受賞し、さらにMRC副会長である森永乳業の田村氏、MRCに多大な貢献をいただいているカゴメの石黒氏が『文部科学大臣賞科学技術功労者表彰』を受賞され、MRCニュース30号と31号に受賞研究の紹介記事を掲載させていただきました。
MRC News No. 30 2003年10月発行 −MRC設立15周年記念特集号−膜とのかかわり―「食品膜技術懇談会設立15周年を記念して」渡辺 敦夫 (新潟大学大学院)「Sourirajanと非対称膜の発明まで」大矢 晴彦
(横浜国立大学名誉教授)「国際酪農連盟100年記念ワールドデイリーサミットでの講演」田村吉隆 (森永乳業)「膜とのかかわり」横山文郎 (東レ)「ニーズからの膜研究、シーズからの膜研究」国眼孝雄
(東京農工大学)「膜研究の回想あれこれ」佐田榮三 (愛知工業大学)「膜型酵素反応器からマイクロエマルション/逆ミセルまで」古崎 新太郎 (崇城大学工学部)「膜分離技術振興協会のこと」中西祥晃(ワイ・エヌ膜技術コンサルティング)「まだ膜の仕事をやっています!!」川崎 睦男
((財)造水促進センター) 研究所紹介「東レ株式会社地球環境研究所紹介」 植村忠廣 (東レ)「東レ株式会社水処理技術開発センター紹介」
太田進 (東レ) 寄稿 平成15年度日本食品科学工学会賞受賞記念「多成分系液状食品を対象とした膜分離工学に関する研究」渡辺
敦夫 (新潟大学大学院)
MRC News No. 31 2004年3月発行 巻頭言「お袋の味と膜」原田三郎(NGKフィルテック梶j 会社紹介「RO膜の最近の動向及び光触媒を応用した環境浄化装置(空気清浄機)」綿屋栄(潟Tンコー) 『文部科学大臣賞科学技術功労者表彰』受賞記念特別寄稿「ラクトフェリンの工業的な製造法の開発」受賞者・執筆者 田村
吉隆(森永乳業梶j「トマトジュースRO濃縮技術の研究開発と実用化−文部科学省科学技術功労賞受賞に当って−」受賞者石黒 幸雄(カゴメ)(執筆者早川
喜郎(カゴメ)) 3.16 2004年度 この年の10月23日17時56分に新潟県中越地方においてM6.8の地震が発生したのはまだ記憶に新しいと思います。23日は土曜日であり、実は、筆者は、東レの栗原氏、田村副会長、横山名誉会員と埼玉県の越生町でゴルフをした帰り、近くの馴染みのおそば屋さんで食事をしていた時でした。この日の朝、9時に越生駅に集合してゴルフ場に行くタクシーの中で横山氏が新潟方面を見て地震雲が出ていると指摘されました。その後、9時40分頃のスタート時にもまだ地震雲が出ていると言っておられました。地震雲の正体は分からないのであまり気にもかけずにプレーを終わって帰りの道で地震が起こったわけです。 一回目の地震も大きく揺れたのですが、横山さんの予言が当たったね と言う程度であまり気にかけずにいました。しかし、数分後同じように大きな地震が起こり、田村氏が携帯電話のインターネットで調べたら、地震は新潟で起こり上越新幹線が脱線し不通になっていることが分かりました。私は翌日の日曜日に新潟に戻り月曜からの仕事に備える必要があったし、新幹線が脱線する程の地震では実験室が破壊されてしまったのではないかと心配になりましたが、非常時には携帯電話に連絡が入るように大学にも学生にも伝えてあったので、連絡がないことから多分大きな事故にはなっていないだろうと推測はできました。 上越新幹線が使えないので東北新幹線で郡山を回り磐越道の高速バスで帰るルートで予約をし、無事新潟に帰ることができました。幸い、新潟市内にはほとんど被害が無く、大学も被害がありませんでした。その後の数ヶ月は東京に出るのに飛行機を利用したり、バスを利用したりと大変不便をしました。 第16回秋季研究例会は、東京農工大の国眼氏と高橋氏の協力を頂き府中で開催させていただきましたが、府中に行くのも関越自動車道が利用できないので、北陸自動車道から上信越自動車道を通って府中に行く道を使い長時間かけてようやくたどり着く状態でした。新潟大の伊東氏に運転していただき、城・田中氏と4名での旅行でしたが大変印象深い道中でした。 研究上で御協力いただいていた山崎醸造や長岡周辺の食品会社の壊滅的破壊、地震雲の予告、上越新幹線の脱線などなど大変印象に残る年で、地震大国日本のもろさが痛切に感じられた年でした。 また、この年は食品産業における膜技術者を養成する目的で『食品膜技術講習会』を開設致しました。東京農工大の国眼氏を中心にして運営していだきましたが、私が使っていた膜関連の機械類も農工大に移動し実習等を行っていただきました。 この年の朗報は、原田MRC副会長が「膜技術による無菌化リンゴ果汁の製造プロセスの開発
」に関する研究で、新潟大学大学院で学位を取得されたことであり、内容がMRC会員の参考になると考えられましたのでMRCニュースに掲載させていただいています。この学位論文の1報目の学術論文は、その後日本缶詰協会の技術賞を受賞しています。
MRC News No. 32 2004年10月発行 巻頭言「エネルギーを形に」 国眼 孝雄(東京農工大学大学院) 研究所紹介「雪印乳業株式会社 技術研究所紹介」重松 明典(雪印乳業梶j 特集− 自慢の膜・膜装置・新技術 −「食品工学研究40年 −膜・遠赤外線・マイクロ波・その他−」渡辺 敦夫
(新潟大学大学院)「我社の自慢の装置」原田 三郎 (NGKフィルテック)「我社の膜を用いた水処理技術」田村 真紀夫 (オルガノ)「人に、環境にやさしいイオン分離技術を提供する株式会社アストム」重冨
拓男 (潟Aストム) 「拡散透析用モザイク荷電膜 『セイカメンブレン』」礒野 康幸,杉戸 善文 (大日精化工業)「PESメンブレンカートリッジフィルター TCS-Gタイプ」桜井
光三 (アドバンテック東洋) 「セラミック膜システムの現状」宮川 浩成(潟gライテック)「液体膜式除湿機」伊東 章 (新潟大学工学部) 「インフュージョン殺菌技術」設楽 英夫 (森永乳業) 「超臨界流体の特性を最大限に引き出すプロセスの実現を目指して」鈴木明
(産業技術総合研究所)
MRC News No. 33 2005年3月発行 巻頭言 「環境問題と膜技術」 佐藤 武(味の素梶j 研究所紹介「食品総合研究所・反応分離工学研究室の紹介」 鍋谷浩志(独立行政法人・食品総合研究所) 寄稿 学位論文(新潟大学大学院 自然科学研究科)「膜技術による無菌化リンゴ果汁の製造プロセスの開発
−その2−」原田 三郎(NGKフィルテック梶j 3.17 2005年度 機能性食品の普及や食品品質の高度化等の動きを受け加工技術の複合化が必要であることについて役員会で議論を進めてきました。膜技術についても膜だけの理解でなく広く分離技術として捉え、他の分離技術との複合化等を進めるべきとの結論に達し、16年間続いてきた『食品膜技術懇談会』の名称を『食品膜・分離技術研究会』に変更し、英文名は『Membrane & separation Research Circle of food』とし略称は従来通り『MRC』とすることにしました。これに伴い、名古屋大学で濾過技術の研究を進めておられる入谷氏に副会長として参加していただき役員の充実をはかりました。 これを受け、MRCニュース34号でも、各種食品の製造における分離技術の現状と展望に関する特集を組み膜・分離技術への広がりをMRC会員の方々に情報提供しました。 第17回秋季研究例会は、東北大学の新井氏と米本氏、宮城県工業技術センターの鈴木氏にお願いして宮城県気仙沼市で開催していただきました。 どういう縁があるのでしょうか?気仙沼は筆者と馴染みが深く度々訪ねさせていただいています。気仙沼と云えば、筆者には萩本欽一の欽ドンショウに出ていた、天然ぼけ役の気仙沼ちゃんを思い出します。昭和60年の化学工学会関東支部大会を仙台で開催する時、東北大の新井氏が食総研に見え一ノ関で食品化学工学研究会を開催して貰えないかとの話を持ち込まれました。東京大の矢野先生に相談したところいろいろと調整して下さりOKと云うことにして下さり、事務局は矢野研究室の崎山氏(現在、東京海洋大学)が対応してくれることになりました。食品化学工学研究会を開催した後、見学会を行うのですが、新井氏からどこにするかとの相談を受け即座に答えたのが気仙沼でした。 その後、宮城県側として鈴木氏が対応して下さり、気仙沼に見学会の下見に行ったり、当時遠赤外線ブームであったことを受け遠赤外線に関する講演に招聘頂いたりと、数回気仙沼には足を運んでいます。研究会では、気仙沼商工会が船を用意してアワビの養殖場に案内して下さいました。さらに、気仙沼プラザホテルで参加者全員に昼食までご馳走して下さり、大変な歓待をしていただきました。その後、気仙沼商工会の方々が東北大の新井氏を団長としてつくばの食総研の見学に来て下さいました。泊まりは、第1回秋季研究例会を開催したつくば山麓の青木屋で、食総研のメンバーと泊まりがけで商工会の方々と交流を深めました。 2004年には、宮城県の鈴木氏から要請をいただき気仙沼で膜の講演をさせて戴きました。この時一緒に講演されたサントリーの高橋氏は、伊衛門茶を開発した部長さんで気仙沼のご出身と言うことで、郷里の英雄的存在の方のようで多くの聴講者が来られていました。 そして、2005年にはMRCを気仙沼で開催させていただくことになり、またまた新潟から高速バスで仙台に出て、JRで気仙沼に度々通うことになりました。研究例会での講演は勿論素晴らしいものでした。そして、気仙沼でしか見られないと考えられる、朝の魚市場に並んだサメやマグロ、サメの加工工場とフカヒレ工場、それら総てを見せていただき大変満足した研究例会でした。
MRC News No. 34 2005年10月発行 巻頭言「食品膜・分離技術研究会(MRC)への発展」渡辺敦夫 (食品膜・分離技術研究会会長) 研究所紹介「新潟大学大学院自然科学研究科 食品・膜分離工学研究室」渡辺敦夫・伊東章 (新潟大学大学院) 特別寄稿〜食品膜・分離技術〜「固液分離の手法と考え方」入谷英司(名古屋大学大学院)「機能性素材と分離・精製技術」宮川 早苗(CMPジャパン梶j「乳業における各種分離技術の利用−ラクトフェリンの製造とアプリケーションを中心として−」田村
吉隆・齋藤 仁志 (森永乳業) 特集〜各種食品の製造における分離技術の現状と展望〜「インスタントコーヒーの製造技術」奥田知晴 (味の素ゼネラルフーヅ)「トマトジュースの製造技術」早川喜郎
(カゴメ)「脱脂粉乳製造にかかわる分離技術」佐藤幾郎 (森永乳業) 「醤油製造における分離・濾過技術」野田義治 (福岡県醤油醸造協同組合)「澱粉・澱粉糖の製造技術」中久喜輝夫
(日本食品化工) 食品膜技術講習会「第2回(2005年)食品膜技術講習会プログラム」
MRC News No. 35 2006年3月発行 巻頭言「研究所長から事業部長になって」田村吉隆(森永乳業葛@能素材事業部・MRC副会長) 会社紹介「NGKフィルテック株式会社」原田三郎(NGKフィルテック梶j 3.18 2006年度 MRCニュース36号は『食品膜・分離技術の現状と展望−我が社の誇る技術と製品−』と題して、膜・濾過・遠心分離・液体クロマト・濃縮・乾燥・抽出と今後MRCとして扱っていくべき分離技術の総てを網羅した特集号を発行することができました。読み応えのある特集号であり、化学工学会誌の編集委員をされている新潟大の伊東氏が同じ著者に化学工学会誌への執筆を依頼しても書いて頂けなかったとのことで、MRCの組織力と情報提供能力の高さに驚嘆していました。 MRCとしては今後も他の情報誌では提供できない情報を発信し続けていきたいと考えていますので、会員各位と関係者のご協力をお願いするものです。 第18回秋季研究例会は、新潟県食品技術研究会と新潟大の伊東・城両氏のご協力により新潟市で開催させていただきました。これで、新潟での開催は3度目になりました。
MRC News No. 36 2006年11月発行 巻頭言 「特集『食品膜・分離技術の現状と展望
−我が社の誇る技術と製品−』刊行に当たって」MRC会長 渡辺 敦夫(新潟大学大学院) 会社紹介「理工協産株式会社」黒川洋輔(理工協産株式会社) ≪特集≫食品膜・分離技術の現状と展望−我が社の誇る技術と製品−
MRC News No. 37 2007年3月発行 巻頭言「膜の時代がやってきた」鍋谷浩志(食品総合研究所) 会社紹介「昭和化学工業株式会社」 神笠 諭(昭和化学工業株式会社 研究所) 3.19 2007年度 MRCを設立して19年。2007年3月をもって新潟大学を定年退職と云うことになりました。今までは新潟大学の渡辺研究室で秘書を務めてくれていた伊勢亀氏の協力の下にMRCを運営してこられたのですが、定年退職になってしまうと事務所を借りる程の資金もなく事務員を雇う程の資金もないし、だからといって会員の支持があるのにMRCを潰してしまうのは不本意であることから、結論として私の家で私が事務も担当しMRCを存続させることになりました。 第19回春季研究例会は、渡辺研究室の同窓会との共催としていただき筆者の退官記念講演を兼ねさせていただきました。秋季研究例会は、今まで行ってきた東京を離れて1泊2日の開催は無理であることから、朝10時から17時までの講演会に切り替えました。しかし、10時からの講演会開会は会場の都合でかなり無理があるため、2012年より午後からの講演会に変更いたしました。無理をしてMRCを潰してしまうより身の丈にあった運営をして長く存続させた方がよいとの役員会での判断があったからです。 膜講習会は従来通り2日間開催していますが、講義を始める前に講師と受講生の自己紹介を行い和気藹々とした講習会になるように、さらに、膜技術の受講者同士が連絡しあえるように配慮した運営をしております。 MRCニュース38号は、新潟大学の伊東氏の協力をいただき5年ぶりに市販膜一覧の特集を組みました。
MRC News No. 38 2007年11月発行 巻頭言 食品膜・分離技術研究会(MRC)の役割と展望食品膜・分離技術研究会
会長 渡辺敦夫 会社紹介 雪印乳業のCSR活動について〜「雪印グループCSR」宣言〜雪印乳業(株)技術研究所(MRC役員) 伊藤光太郎
技術解説 膜技術 PVDF膜・モジュール構造およびその実用例(財)造水促進センター(MRC顧問)川崎睦夫 技術解説 膜技術 精密濾過膜による食品の無菌化ろ過(株)トライテック(MRC副会長)原田三郎 特集 市販膜一覧 精密濾過・クラレ・ユアサメンブレンシステム・三菱レーヨン・東洋濾紙・東レ・ABCOR・NGKフィルテック・サンコー・富士写真フイルム・旭化成ケミカルズ・オルガノ・日本ミリポア・富士フィルター・日本精線・日本ポール・ザルトリウス・ゲルマンサイエンスジャパン・USフィルター・野村マイクロサイエンス・ 限外濾過・ゲルマンサイエンスジャパン・日本ミリポア・富士フィルター・ABCOR・旭化成ケミカルズ・PCI・サンコー・DDSS・日東電工・NGKフィルテック・ダイセンメンブレンシステム・三井化学・ユアサメンブレンシステム・ザルトリウス・日本ポール・ ナノ濾過/逆浸透膜・東レ・DDSS・日東電工・サンコー・森永エンジニアリング・東洋紡績・PCI・ダイセンメンブレンシステム・ イオン交換膜・アストム・大日精化工業・トクヤマ・旭硝子・
MRC News No. 39 2008年4月発行 巻頭言 科学技術用語の正確さの必要性−無菌化濾過− 渡辺敦夫(食品膜・分離技術研究会
会長 ・新技術開発院 院長・農学博士) 会社紹介 日本ピュアウォーター(株)横山文郎(日本ピュアウォーター(株)海外営業部長) 3.20 2008年度 2008年でMRC設立20周年を迎えましたので、春季研究例会のまえに20周年記念式典を開催しました。20周年記念事業として、田辺代表幹事がMRCニュース全39号をPDFファイルとしてCDに取り込んで下さり、これを複製ができないようにプロテクトをかけたものをMRCに対する貢献に応じて贈呈あるいは販売することにしました。MRCニュース40号は設立20周年記念号として現在作成中です。現在執筆中のこの原稿が今度発行されるMRCニュース40号の一部になります。
3.20 2008年度 2008年でMRC設立20年を迎えたので、春季研究例会のまえに20周年記念式典を開催しました。20周年記念事業として、田辺代表幹事がMRCニュース全39号をPDFファイルとしてCDに取り込んで下さり、これを複製ができないようにプロテクトをかけたものをMRCに対する貢献に応じて贈呈あるいは販売することにしました。MRCニュース40号は設立20年記念号として作成しました。 渡辺の退官に伴い新潟大学の協力が得られなくなりましたが、この年から東京農工大学の高橋教授と野村准教授の協力が得られるようになり、また農工大農学部付属硬蛋白質利用研究施設が協力機関として協力して頂けることになりました。 この年の9月に第1回乾燥技術講習会を開催しました。13名の参加があり好評でした。 10月にはCMPジャパン(現在、UBMメディア(株))のご厚意で東京ビッグサイトの食品開発展に3日間出展させて頂き、2日間に渡るテクニカルプレゼンテーションで100名の受講生に膜技術の基礎について紹介しました。 膜技術講習会を2004年から開催してきましたが、アンケートを取ると膜技術についてかなり高度な知識を持つ受講生から、全くの初心者までかなり知識レベルに差があることがわかっていました。2回/年の講習会を開催するほど時間的余裕がなかったので実行できずに来ましたが、退官し時間が取れるようになったので、2009年1月に一日だけ初心者のための膜技術講習会を開催してみたところ、受講生16名が参加してくれました。この時のアンケートから、一日だけでは時間が短すぎるので2日間にして欲しいとの意見が多かったため、翌年2010年1月から2日間の講習会を開催することにしました。
MRC News No. 40 2008年11月発行 MRC設立20周年記念特集 食品膜・分離技術研究会(MRC)20年の歩み 渡辺敦夫 (新技術開発院 院長 食品膜・分離技術研究会 会長・農学博士) 膜分離技術との関わり 田村吉隆 (森永乳業(株)研究開発センター 食品膜・分離技術研究会 副会長・工学博士) 食品への膜技術利用雑感 原田三郎 ((株)トライテック 食品膜・分離技術研究会 副会長・学術博士) 食品分離膜装置の洗浄に関する雑感 田辺忠裕 (エコラボ(株)顧問 食品膜・分離技術研究会 代表幹事) 膜協会と膜技術の発展 田村真紀夫(中間法人膜分離技術振興協会膜協会ジャーナル編集長 食品膜・分離技術研究会 副代表幹事) タンニン酸を用いたRO/NF膜の改質技術 佐藤祐也(オルガノ(株)開発センター) 耐有機汚染性に優れたアニオン交換膜ASM-F 田中伸幸((株)アストム、技術部) 我が社の誇る新技術・新製品−膜・分離技術との関わり 櫻井光三・金子恭典(アドバンテック東洋(株))
MRC News No. 41 2009年4月発行 会社紹介 明治乳業株式会社研究本部 豊田活(MRC幹事、明治乳業(株) 技術開発研究所) 総説および解説 脱脂乳のナノ総過(NF) における塩類の透過 佐藤幾郎(MRC幹事、森永乳業(株)装置開発研究所・工学博士) 食品分野における分離・ろ過技術の最近の動向 岡部亀久雄(食品と開発』編集部) 無菌化濾過技術の特徴と応用 渡辺敦夫(MRC会長、新技術開発院院長・農学博士) 3.21 2009年度 2009年は長年続いてきた自民党政権が崩壊し、8月の衆院総選挙で民主党が圧勝し工学部出身の鳩山氏が総理大臣に就任した年であり、記憶すべき年でした。理系の総理大臣は、その後の管直人氏と2代続きました。民主党政権についてはいろいろな意見を持つ方がおられるので評価はしませんが、理系総理大臣についてはかなり期待外れで理系の恥と感じた人は私一人ではなかったと思います。 こうした流動する社会の動きがあったものの、MRCは徐々に東京での運営の基盤を固めてきました。 (財)日本水産油脂協会理事長であった須田氏と(財)日本食品分析センターの久米常務理事との話の中から日本食品分析センターの協力を頂けることになり、膜技術講習会等をセンターの会議室で開催し、講習会の運営も手伝っていただけることになりました。また、役員として雨宮課長が参加してくれることになり、講習会の運営が極めてスムーズに行えることになりました。 食品産業で使用される膜技術用語と造水分野で使用される膜技術用語では異なる場合があるので、食品産業膜利用技術研究組合の活動の中で、両分野で共通の用語が使われるようにと考え、1985年11月に食品産業膜技術用語集(膜処理技術用語集作成委員会・座長渡辺敦夫)が作成されました。 以来20余年経ち、膜技術講習会を開講してから、2日間に渡って食品産業における膜技術全般を講義する中で食品膜技術用語集を補足・改訂する必要を感じていたのですがなかなか着手できずにいました。そこで、渡辺が退官してMRCの運営が軌道に乗って余裕が出たので、食品膜技術用語集を補足・改訂して MRC News No.42 とホームページに掲載しました。
MRC News No. 42 2009年11月発行
巻頭言 膜技術漫談―膜リアクターによる水産未利用資源の調味料化― 半田敏久 (有)半田研究所 技術士・(水産・総合技術監理)中小企業診断士 特集 《食品膜技術用語集》 食品産業 膜処理技術用語集 2009(MRC) 渡辺敦夫 (新技術開発院院長 食品膜・分離技術研究会会長・農学博士 食品産業における膜技術用語の統一についての提案 渡辺敦夫 (新技術開発院院長 食品膜・分離技術研究会会長・農学博士) 《一般原稿》 珪藻土とその安全性 神笠諭(昭和化学工業(株) 中空糸膜式ガスドライヤー“サンセップ”の紹介 齋藤孝博 (AGCエンジニアリング(株)) 珪藻土フリー食品製造用次世代ろ過技術―全自動セラミック膜ろ過システム― 吉際 洋(日本ポール(株)) 地下1000m、水を使った望遠鏡―カミオカンデを支える膜技術― 田村真紀夫(膜技術振興協会)
MRC News No. 43 2010年4月発行 食品加工の基本技術は分離技術である 渡辺敦夫 (食品膜・分離技術研究会会長・新技術開発院院長・農学博士) 3.22 2010年度 2009年総合科学技術会議(CSTP)において、科学技術担当大臣より、「研究者を最優先にした従来にない全く新しい制度の創設」が提示され、30件の中心研究者および研究課題が決定されました。 2010年に研究計画等が決定し、研究が開始されました。最先端研究開発支援プログラム(FIRSTプログラム)は、新たな知を創造する基礎研究から、実用化を見すえた研究開発まで、さまざまな分野や段階を対象とし、およそ5年で世界のトップを目指す先端的な研究開発支援プログラムです。日本全国から応募のあった研究者の中からトップの30人(中心研究者)を選び出し、1人の中心研究者に約15億円から60億円のプロジェクトを任せるという非常にユニークな制度です。 本プロジェクトでは、東レ(株)フェローの栗原優氏が中心研究者となり、Mega-ton Water System(メガトン水システム)の研究課題で29億円余りの予算を獲得しました。 本研究では、世界最高レベルの低圧海水淡水化逆浸透膜エレメントとその大型化、耐腐食性配管材料、浸透圧発電、エネルギー回収等の要素技術と共に、ケミカルレス海水淡水化システム、1mega-ton(100万m3)/日規模(約400万人の生活用水相当)インテリジェント大型海水淡水化プラントのシステム技術開発、さらに革新的な下水処理システムでは従来の資源消費型から資源生産型へのパラダイムシフトを図り、環境、エネルギー、コストに配慮した実用化技術の開発を目指して研究を行うことになりました。 こうした動きの中で、第22回の春季研究例会では、ご多忙の栗原氏に「温故知新による技術開発の必要性―過去の研究動向を確認して今後の技術開発に生かす−」と題して講演頂きました。 本講演の話は、田村吉隆MRC副会長や横山文郎MRC名誉会員を交えて栗原優フェローと越生でゴルフした帰り、渡辺の車で川口まで戻り、駅の近くで夕食を食べながらの会話の中から、浮かんできた講演テーマです。栗原氏とは昔からのゴルフのライバルで仲良くして頂いてきた関係もあり、人の輪が仕事の上で大きなウエートを占める一つの良い例であると考えます。人との繋がりが薄くなりがちといわれる現在において、若い方々に紹介する次第です。 2011年2月に、渡辺が学部4年の卒論研究から恩師としてまた農林水産省食品総合研究所勤務時は上司として育てていただいた木村進先生(MRC顧問・元食品総合研究所所長)がお亡くなりになりました。生者必滅会者定離とはいえ、悲しい出来事でした。木村先生の追悼文はMRC News No.45に掲載されていますのでご一読ください。
MRC News No. 44 2010年11月発行 特別寄稿 森永乳業の膜技術開発を振り返って 田村吉隆 (森永乳業()研究開発担当役員付・食品膜・分離技術研究会
副会長・工学博士) 特集 わが社・わが研究室の自慢の新技術・新製品 自己書評 トコトンやさしい膜分離の本(日刊工業新聞社刊) 伊東 章 (東京工業大学化学工学専攻・工学博士) ナノろ過膜処理を応用した高付加価値クリーム「明治フレッシュクリームあじわい」 小松 恵徳
(明治乳業(梶j研究企画部) 脂肪0(ゼロ)ヨーグルトの開発 藤田 裕 (森永乳業(株)食品総合研究所) 平膜クロスフロー試験機 (株式会社 トライテック) 安全な水を世界に:低ファウリングPVDF中空糸UF膜モジュール 峯岸 進一 (東レ(梶@メンブレン事業第2部・工学博士) 財団法人 日本食品分析センターの品質保証体制について 鈴木 宏子 ((財)日本食品分析センター 多摩研究所) 食品の機能性評価を目指した受託試験系のセットアップ 山口 昭弘 ((財)日本食品分析センター 千歳研究所) 異物検査の概要と取り組み 小木曽 基樹((財)日本食品分析センター 多摩研究所) ペットボトル飲料の出荷判定期間短縮システムの開発」浅野 稔浩 (大和製罐(株)総合研究所) 寄稿 食品の「熟成」について石谷孝祐(一般社団法人日本食品包装協会 理事長・農学博士) 科学的ものの考え方−赤外線加熱を例として― 渡辺敦夫 (食品膜・分離技術研究会会長、東京農工大学参与研究員・農学博士)
MRC News No. 45 2011年4月発行 追悼文 木村進先生(元・農林水産省食品総合研究所長・MRC顧問)のご逝去を悼む 渡辺敦夫(食品膜・分離技術研究会 会長・農学博士) 寄稿 “森の呼吸”を測る 田村真紀夫(T.Tech.Office) 3.23 2011年度 2011年3月11日は、我が国では1000年に1度という大地震に東北地区が見舞われ、それに伴う津波と原子力発電所の事故により大災害を引き起こし、日本人の安全に対する認識・エネルギーに対する認識が大変革を起こした年になりました。 地震のマグニチュードMは9.0で、関東地震(1923年)の7.9や昭和三陸地震(1933年)の8.4をはるかに上回る我が国での観測史上最大のものでした。1900年以降では世界で4番目に大きな地震とのことで、全世界的には比較的たびたび起こる大きさの地震であったようで、今回の地震を想定外とする原子力関係者の発言はあまりにも無責任であると感じます。
この地震により引き起こされた津波は最大溯上高40.1mを記録しました。関東地方の埋立地の浦安などでは液状化現象が発生しています。この地震による死者・行方不明者計約1万9千人となる大災害をもたらしました。 福島第一原子力発電所では、水素爆発・メルトダウンが起こり、一歩間違えれば関東以東に人が住めなくなるほどの大事故を引き起こすところでした。東京電力や原子力関係者さらには日本人の危機管理の甘さ、平和ボケ・安全ボケが世界に知れ渡ることになってしまいました。 明るい話では、当会副代表幹事である鍋谷氏は当研究会発足時からの役員で食品総合研究所に勤務されていますが、『膜分離技術の最適化に関する研究』で日本食品科学工学会賞を受賞されました。
MRC News No. 46 2011年10月発行 寄稿 ソフトコロイドの固液分離 入谷 英司(名古屋大学大学院工学研究科) ガス・蒸気分離膜素材としてのイオン液体 伊東 章 (東京工業大学化学工学専攻) 宮古島が取り組むエネルギー地産地消への挑戦 田村真紀夫(T.Tech.Office)
MRC News No. 47 2012年4月発行 寄稿 日本食品科学工学会 受賞記念 膜分離技術の最適化に関する研究 鍋谷浩志(農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所)(工学博士) 寄稿 膜の技術開発、そして福島原発の事故報道に学ぶ 田村 真紀夫 (T.Tech.Office) 3.24 2012年度 1998年、MRC第10回秋季研究例会を新潟で開催させて頂いたのに合わせて、当時の新潟県食品技術研究所の若林所長が新潟県にも膜技術を普及させたいとして『新潟県食品膜利用技術研究会(現名称:新潟県食品技術研究会、略称:FC新潟)』を設立されました。設立以来、当時新潟大学大学院に在籍していた渡辺は顧問として運営に携わり、2002年(MRC第14回秋季研究例会)、2006年(MRC第18回秋季研究例会)に、FC新潟と共催で秋季研究例会を開催させて頂いてきました。 2012年はFC新潟設立15年記念の年にあたることと、翌年の2013年がMRC設立25年記念にあたることもあり、久しぶりで1泊2日のスケジュールで、FC新潟と共催でMRC第24回秋季研究例会を新潟東映ホテルで開催させて頂きました。 2007年から5年間、UBMメディア(株)のご厚意で『食品開発展』に出展させて頂いてきましたが、諸般の状況が変化してきたため本年度から出展を辞退させて頂くことにしました。
MRC News No. 48 2012年10月発行 特別寄稿 サメの活用から気仙沼の復興を目指す 野村 義宏(東京農工大学・硬蛋白質利用研究施設)
MRC News No. 49 2013年4月発行 @食品膜・分離技術研究会(MRC)設立25年記念にあたって 渡辺敦夫 (農学博士) 新技術開発院院長 MRC会長 AMRC創立25周年によせて 田村吉驕@ (工学博士) 森永乳業株式会社 MRC副会長 Bわが社の自慢の新製品新プレミアムアイスクリーム「meiji THE
PREMIUM Gran(グラン)」 豊田 活(工学博士) 株式会社 明治 品質科学研究所 MRC幹事 C弊社の膜技術利用製品のご紹介 越智 浩 博士(工学))森永乳業株式会社食品基盤研究所 MRC幹事 D当社における膜利用について 吉岡孝一郎雪印メグミルク潟~ルクサイエンス研究所食品加工研究室MRC監事 Eビールの濾過における膜の利用 大下 勝巳 サントリー酒類株式会社 京都ビール工場技師長 F低ファウリングPVDF中空糸膜モジュールと新規膜ろ過運転技術 羽川和希、森川博文、峯岸進一(工学博士)東レ(株)メンブレン事業第2部 MRC副代表幹事 G中空糸型限外ろ過膜モジュール 中塚修志 ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社技術開発センター 所長 Hわが社の水道用膜ろ過設備 村田周和 オルガノ葛@能材料部 I浄水器による水道水中の放射性ヨウ素除去に関する研究 嶋内裕 (財)日本食品分析センター 多摩研究所 J食品産業における膜・分離技術利用の動向 吾妻芳行 UBMメディア梶@月刊「食品と開発」編集部 K新しい膜技術 ”フィルム栽培” 田村真紀夫 科学技術ジャーナリスト MRC副代表幹事 L食品膜技術との出会い −遊離酵素型膜リアクターの開発− 半田敏久 技術士(水産・総合技術監理) MRC顧問 M食品産業における膜分離装置の洗浄に携わって 田辺忠裕シラサギ・サニテーションラボ (元)エコラボ株式会社 MRC顧問 Nワイン用ボトル缶の開発 佐藤 歩 大和製罐株式会社 総合研究所 第二研究室 O今後の電力事情についての一考察 古崎新太郎 (工学博士) 東京大学名誉教授 MRC顧問 P分離膜を用いた新規再生可能エネルギー発電 比嘉 充(工学博士)・藤井 将矢(工学博士) 山口大学大学院理工学研究科 教授 Q澱粉の液中分離制御技術 高橋 幸資 (農学博士) 東京農工大学農学研究院 教授 MRC副会長 R圧力ステップ状限外濾過法に基づくケーク圧縮性の評価 入谷
英司 (工学博士) 名古屋大学大学院工学研究科 教授 MRC副会長 Sシングル膜蒸留法の再評価 伊東 章 (工学博士) 東京工業大学化学工学専攻 教授 MRC副会長 21食品膜・分離技術研究会(MRC)25年のあゆみ 渡辺敦夫 (農学博士) 東京農工大学参与研究員 MRC会長 3.25 2013年度 1989年(平成元年)に設立されたMRCは2013年で設立25年を迎えました。第25回春季研究例会の前に記念式典を行い、MRC2代会長の大矢晴彦先生、世界濾過会議日本会会長の入谷先生から祝辞を頂きました。田村副会長からは、MRC役員を代表して今後の取り組み方針に関する挨拶がありました。初代会長の木村尚史先生にも祝辞をお願いしましたが、ご都合が悪いとのことでした。 25年間にわたり食品膜・分離技術に関連する最新情報を発信し続けてきたMRCニュース全巻50号までをCDに収録して、25年記念事業として会員皆さんに配布することにしました。MRCニュース50号を発刊した後、これも取り入れてCDを作成しますのでもう少しお待ちください。 社会情勢は、海洋進出をはかる中国とアジア諸国との摩擦が生じ、我が国は尖閣諸島をめぐり一段と緊張が高まりつつあります。また、歴史認識をめぐり長年反日教育を続けてきた韓国も新大統領に代り従来以上に我が国に対する反日姿勢を強めて来ています。しかし、他のアジア諸国は日本の友好国で決して我が国が孤立しているわけではありません。 お隣(おこまり)の2国が日本批判を繰り広げており、防空識別圏をめぐっては今にも武力衝突が起こってもおかしくない状況になって来ている感を受けます。これは、我が国は圧力をかければ、ハッキリ対峙しないで引く国であると中国や韓国が考えており、歴史認識を盾に押すだけ押そうという中国の戦略にのった行動です。 日本人がハッキリものを言わないのは日本人同士では一面美徳ではあるのですが、科学技術においても、怪しげな偽装(?)科学技術についてものを言わないと、科学者自体の能力が疑われることになります。原子力をめぐって今まで原子力関連の科学者が言ってきた安全神話が完全に崩れてしまいました。こうした点から、50号では渡辺が身をもって体験した内容を含めて食品業界を悩ます偽装食品と偽装(?)科学技術を取り上げてみました。 2013年の暗いニュースとしては九州大学の筬島豊先生が亡くなられたことです。MRCニュース50号の追悼文に述べたように、渡辺の学位審査の副主査を務めて下さり、以来、MRC設立総会にも九州より駆けつけて下さいました。MRC第14回秋季研究例会を新潟で開催した時もご講演においで下さり、終了後、MRCとFC新潟の方々と1泊で佐渡見学に行くなどMRCの運営に大きな貢献をして下さった先生です。先生のご冥福をお祈りいたします。ご功績やMRCとの関係については追悼文をご覧ください。
MRCニュースへの市販膜一覧の特集は、5号(1990)、13号(1994)、21号(1998)、28号(2002)、38号(2007)と過去5回、ほぼ5年おきにデーターを更新してきました。市販されている膜一覧のデーターベースはMRCニュース以外にないため造水分野の方々からの引き合いもあり、年間数冊のMRCニュースが会員以外の会社に購入されています。データーの整理は、東工大の伊東章先生にお願いし、この度も特集号として出版することにしました。 MRC News No. 50 2013年12月発行 @ 食品膜・分離技術研究会(MRC)25年のあゆみ―総集編―MRC会長渡辺敦夫 A 筬島 豊先生のご逝去を悼む MRC会長 渡辺敦夫 中村学院大学教授 太田英明 B特別寄稿 偽装食品と偽装(?)科学技術 MRC会長 渡辺敦夫 C Mega-ton Water System 国際シンポジウム報告 MRC会長
渡辺 敦夫 MRC幹事 田辺 忠裕 D 特集―市販膜一覧―
4.膜・分離技術開発の方向 4.1 MRC設立時に提案した膜技術開発の方向 MRCの設立時、1989年6月の第1回春季研究例会において「食品開発における膜技術の魅力―さらに膜技術を発展させるためには―」と題して講演させて頂きました。そこでは、これからの研究方向として以下の点を提案しています。 @食品・バイオ分野での分離・精製・濃縮において膜技術は必須の技術になっている*食品成分を分離、複合化することによる新しい食品の創出*バイオテクノロジー利用における物質生産においてのダウンストリーム技術*食品の高品質化*多品種少量生産への対応*無加熱ジュースおよび飲料の製造*メンブレンバイオリアクターの開発―遊離生体触媒型と強制透過型― A膜・モジュールそのものの機能を向上させうる余地がある*耐熱性・耐薬品性・耐久性・耐圧力性の向上*溶質吸着性の改良(表面改質)*抽出・蒸留工程への利用*アフィニティー膜等の開発および利用法の開発*受動輸送から能動輸送へ*生体膜の持つ高機能への接近 膜モジュールと装置の改良により膜の分離性能を変えうる*膜モジュール構造の改良*装置設計法の改良*運転条件の選定 B学問的興味*膜の分離機構の解明(生体膜・人工膜共に)*Foulingによる膜機能の低下機構の解明*分子工学的設計に基づく膜の作成 提案から25年間経った今、これらの提案の一部は実現し、一部はハードルの高さから研究途上にあり、さらに一部は実現が不可能ではないかと諦めたくなるようなものもあります。しかし、研究の方向としては正しいと考えられ、今後もチャレンジし続ける必要性を感じます。 4.2 現在の社会情勢と膜・分離技術開発の方向 20年間の膜・分離技術の発展を踏まえ、現在の社会情勢と膜・分離技術との関わりについて筆者なりに整理し表4に示しました。今後の膜・分離技術発展の方向は、資源の循環・再利用システムの構築,食料自給率の向上,健康維持に役立つ食品、安全な食品・おいしい食品の製造等に役立つ技術開発と考えられます。 近年のBRICs諸国の経済的発展による穀類消費の増加やバイオ燃料製造のための穀類利用等により世界の食料事情が逼迫し、我が国の食料の値段が高騰して家計を圧迫しているとの悲鳴が聞こえてきます。しかし、我が国の食料自給率は40%を下回っているにも拘わらず、テレビではチャンネルを廻せばグルメ番組全盛で世界から食料を買いあさり贅沢の限りを尽くした生活をしているように見えます。この二つの現象はどちらが日本の実情を表しているのでしょうか。実は、この二つの現象はどちらも日本の実情なのです。 理系の研究者・技術者は一般に社会情勢に疎いので、参考のため現在(2008年当時)の社会的情勢を説明しますと、我が国の給与所得層は2局化してしまっており、非正規雇用が一般化しています。通年で勤務した給与所得者数は4485万人いますが、このうち、年収が200万円以下の人は1022万7000人で、女性が759万7000人、男性が263万人となっています。一方、年収1000万円以上の人は224万2000人で前年比4.4%増になっています。給与の平均は435万円で前年比2万円低くなっており、9年連続で減少しています。これに伴い2006年に民間企業が支払った給与の総額は200兆346億円と前年比で0.8%減少しているにも拘わらず、源泉徴収された所得税額は前年比9.9%増の9兆9321億円で、給与総額に占める税額の割合は4.97%と3年連続で増加しています。給与所得層が2局化していること、さらに今までは景気が良かったとされていますが、我々庶民には好景気が実感できなかったことは上記の状況から分かります 低所得者層の所得向上とこうした方々に食料を安く提供することは我が国の政治方策により解決できるものと考えられますが、そのための財源を消費税に短絡的に求めるのでなく、税金の無駄使いを省き、効率の良い行政をより一層推進させる必要があります。税金の無駄遣いは、社会の成熟化に伴い各種の産業・階層が獲得してきた既得権益を、社会構造が変化したのに守り通そうとするところから生じてくるものです。古い体質の会社でも同じことが起るのですが、会社の場合は業績不振あるいは倒産というブレーキがかかるのに対し、前者の場合は倒産の危険性を感じてないところに問題があります。 食料価格の高騰は世界的な傾向で、我が国だけの努力で全面的に解決できる問題ではないのですが、廃棄される食料資源の有効利用と排水からの有価成分の回収等により輸入食料・消費食料を減少することはできます。こうした問題に追い打ちをかけているのが、輸入食料の安全性に対する対策で、今後農薬等毒物の分析にかかる費用は莫大なものになると考えられますし、仮に故意に毒物を混入させられた場合は抜き取り検査では発見しきれないであろうという不安があります。 表4. 現在の社会情勢と食品膜・分離技術開発の方向
1973年と1979年のオイルショックの際は、排水・廃棄物から有価成分を回収し飼料等に利用しました。しかし、その後の円高の煽りを受け、穀類は外国から購入する方が安い状況が続いてきました。これからより厳しさを増してくると考えられる世界の食料事情の逼迫状況は恒久的なものとなると考えられオイルショック時の対策以上の努力が必要になり、膜・分離技術の役割はより一層重くなるものと考えられます。 5.おわりに MRCが設立され25年の歳月が流れました。設立当時は130社余りの企業会員が参加していましたが、現在は3分の1の規模に減少してしまいました。しかし、25年の長期にわたって膜・分離技術を真に必要として来た中枢の企業会員が残ってくれたものと感じています。また、食品膜技術講習会および基礎膜技術講習会においては、会員外の企業の方々が半数近く受講されます。会員外の企業が会員になってくれればMRCの運営は楽になるのですが、年会費は払いたくないが膜技術は利用したい、あるいは膜技術に関連する技術者を育成したいと考える企業が多くあることを意味しているものと考えられます。 アベノミクスがプラスに出るかマイナスに出るか議論の分かれる段階ではありますが、我が国は技術開発・技術成長を促進しなければならないことは喫緊の課題であることに変わりはありません。今や、食品加工技術の中枢を担うまでに成長した膜技術を発展させ、さらに後進の研究者・技術者を育成する役割をMRCとして果たして行かなければならないと考えています。 我が国の理系の大学教育・大学院教育では、重箱の隅を楊枝でつつくようなあまり意味のない研究でも、実験を行い、データーを取りまとめて学術論文を作ることが学位を取得するために必要とされて来ました。このため、一般的に、我が国の理系出身者の視野は狭く自分のタコツボに籠り勝ちで、全体が見ない研究者・技術者が育つ傾向にあることが危惧されてきました。この典型的な現れが原子力村であり、福島原発事故につながったと考えられます。前記2名の理系出身の総理大臣もこの現れかもしれません。 これからの社会は多様な人材が必要であり、理系教育においても多様な技術をコーディネイトし一つの技術システムとして組み立てていける人材の育成が必要と考えられます。すなわち、個々の要素技術をシステムとして組み立て、安全にシステムを動かしていける人材、ワイドアングルの視野を持つ人材の育成が必要となります。もちろん、個々の要素技術の研究開発を行う人材も育成する必要があることは申すまでもありません。 こうした意味から、栗原氏の指導するMega-ton Water
System(メガトン水システム)の研究が大きな成果を上げることを期待すると同時に、MRCでは年2回開催する膜技術に関連する講習会で上記の技術者の育成もめざし今まで以上の熱意をもってMRCを運営していく予定でいます。 今後ともよろしくご協力いただきますようお願い申し上げます。 参考文献 1)食品産業センター技術研究報告 特集 分離技術:12号(1988) 2)富田守; 育児用粉乳の開発と膜分離技術: 膜 21(2)85(1996) 3)渡辺敦夫; 膜処理技術における洗浄:防菌防黴学会誌 8(10)436(1980) 4)A. Watanabe, S. Kimura and S. Kimura; Flux Restoration of Reverse Osmosis
Membranes by Intermittent Lateral Surface Flushing for Orange Juice Processing:
J. Food Science Vol.43. 985(1978) 5)A. Watanabe, S. Kimura, Y. Ohta and S. Kimura; Nature of the Deposit on Reverse Osmosis Membranes during Concentration of Mandarin Orange Juice: J. Food Science
Vol.44. 1505(1979) 6)木村尚史、渡辺敦夫 代表編集:食品製造における膜利用技術;食品産業膜利用技術研究組合(1987) 7)膜利用技術研究会;食品産業における膜処理システム:最先端水処理技術への応用、光琳書店(1989) 8)食品産業ハイセパレーション・システム技術研究組合編、機能性食品素材の高度分離・生成と開発(1992) |