食品産業 膜処理技術用語集 2009 (MRC) | ||||
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番号 | 用語 | 読み方 | 意味 | 英語 |
あ | ||||
1 | アクティブレイヤー | あくてぃぶれいやー | 活性層参照、ち密層ともいう(図2参照) | active layer |
2 | 圧密化 | あつみつか | 長時間の圧力負荷により膜の支持層の構造が圧縮されることにより密になり流束の減少をきたすこと | compaction |
3 | 圧密化指数 | あつみつかしすう | 透過流束の減少が膜の圧密化のみによって起るとみなした場合のm値。m値の項を参照。 | compaction index |
4 | 圧力損失 | あつりょくそんしつ | 液体中のある2点間において流体摩擦などにより失われた流体のエネルギーで、一般にPa(SI単位)又はkg・cm-2で表される。例えば流体が配管、バルブなどを流れる間に生ずる全圧力の低下をいう。 | pressure drop, pressure loss, head loss |
5 | 圧力容器 | あつりょくようき | エレメントを包蔵する容器で、運転圧力に耐える強度を有する。耐圧容器ともいう。 | pressure vessel |
い | ![]() ![]() |
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6 | イオン交換膜 | いおんこうかんまく | イオン交換機能を持つ物質を膜状に成形したものであり、電気透析を行うのに利用される。陽イオン交換膜と陰イオン交換膜がある。(図1参照) | ion exchange membrane |
7 | 一過式処理法 | いっかしきしょりほう | 保持液の循環を行わず連続処理する方法(図10参照)。 | single pass processing, (treatment,separation) |
8 | 異方性膜 | いほうせいまく | =非対称膜(図2参照) | anisotropic membrane |
9 | 入口圧 | いりぐちあつ | モジュール入口の圧力 | inlet pressure |
え | ![]() ![]() |
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10 | SDI | えすでぃーあい | シルトデンシティインデックスと同じ | silt density index |
11 | FI値 | えふあいち | ファウリングインデックスと同じ | fouling index |
12 | m値 | えむち | 膜の透過流束の減少率で、次式によって定義されるmの値。劣化指数(係数)ともいわれ、膜の耐久性を表す一つの指標とされる。 (J/J0)=(t/t0)-m J:t時間後の透過流束, J0:t0時間後の透過流束, t:運転継続時間, t0:運転初期の基準時間 |
m index m value |
13 | LRV | えるあーるぶい | 対数減少値と同じ | logarithmic reduction value |
14 | エレメント | えれめんと | 膜とその支持体および流路材を一体化し、圧力容器に納められるように加工成型された最小単位のもの。膜モジュールの最小構成要素。 | element |
15 | 塩素許容量 | えんそきょようりょう | 膜に対する有効塩素の許容量は異なる。 | chlorine tolerance |
16 | 塩素処理 | えんそしょり | 殺菌や洗浄などを目的として膜装置内あるいはモジュール内に塩素剤を加えた殺菌・洗浄液を供給するか、モジュールを殺菌・洗浄液に浸漬することの総称。 | chlorination |
17 | 塩透過率 | えんとうかりつ | 塩が膜を透過する割合で、1から塩阻止率を引いた値で示す。多くの場合、%で表示される。 | salt passage |
18 | 温度補正係数 | おんどほせいけいすう | 透過流束が温度によって変わるため、これを基準温度(25℃)に対して補正する係数。 | temperature correction factor |
か | ![]() ![]() |
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19 | 回収率 | かいしゅうりつ | 一般的には、収率と同意に用いられる。時として、供給液量に対する透過液量の比を表わすことがある。 | yield recovery |
20 | 回復率 | かいふくりつ | 標準の初期透過流束に対して、洗浄により膜の透過流束が回復する割合。 | restoration factor, restoration ratio |
21 | 回分処理法 | かいぶんしょりほう | 供給液を供給タンクに新たに供給することなく保持液(または濃縮液)を供給タンクに戻しながら透過液を取り出し処理する方法(図9参照)。 | batch processing, batch operation |
22 | 回分分離 回分濃縮 回分分画 |
かいぶんぶんり かいぶんのうしゅく かいぶんぶんかく |
回分処理により特定物質を分離・濃縮・分画する膜処理方式。 | batch separation, batch concentration, batch fractionation |
23 | 化学的劣化 | かがくてきれっか | 加水分解や酸化等の化学的原因により膜自身が変化し、機能の低下を起こすこと。 | chemical degradation |
24 | カスケード処理 | かすけーどしょり | 本来は、多段に別れた滝を意味する。膜処理においては、一段目の透過液を二段目で処理することにより純度を高める等多段にシステムを組み上げたものをいう。公園などにある水が流れる階段や、環境分野では、材料を廃棄する前に別の用途に使うことを指すこともある。 |
cascade process |
25 | 活性層 | かっせいそう | 膜の表層にあって、溶質等の透過を阻止する極めて薄くち密な層。 =ち密層(図2参照) | active layer |
26 | 荷電膜 | かでんまく | 電荷を持つ膜。 | electric charged membrane |
27 | 管状(管型)膜 | かんじょう(かんがた)まく | 管状の膜。 | tubular (type) membrane |
28 | 管状(管型)モジュール | かんじょう(かんがた)もじゅーる | 多孔支持管の内面または外面に膜を形成または装着したモジュール。(図4参照) | tubular (type) module |
き | ![]() ![]() |
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29 | 逆圧洗浄法 | ぎゃくあつせんじょうほう | 透過液側から液体を送ることにより、膜のファウリング物質を除去する方法。 | back pressure washing |
30 | 逆浸透現象 | ぎゃくしんとうげんしょう | 浸透圧(モル濃度)の異なる溶液が半透膜を隔てて接するとき、溶液の浸透圧差に打ち勝つ圧力を高浸透圧(高モル濃度)液側に加えると、浸透現象とは逆に、溶媒が低浸透圧(低モル濃度)液側へ移行する現象。 | reverse osmosis phenomenon |
31 | 逆浸透法 | ぎゃくしんとうほう | 逆浸透現象を利用して、溶液から溶媒(主として水)を分離する方法。(図3参照) | reverse osmosis hyperfiltration |
32 | 逆浸透膜 | ぎゃくしんとうまく | 逆浸透法に用いる選択透過性の膜。 | reverse osmosis membrane |
33 | 逆流洗浄法 | ぎゃくりゅうせんじょうほう | 通常の膜処理を行う場合のモジュール出口側から流体を入口側に送り、モジュール内の流路閉塞物質や膜のファウリング物質を除去する方法。 | back flushing |
34 | キャピラリー 型モジュール |
きゃぴらりー がたもじゅーる |
内径1mm程度の毛管状の膜を使用したモジュール。細管状(細管型)モジュールともいう。=中空糸膜モジュール(限外濾過・精密濾過用の膜). | capillary (type) module, hollow fiber (type) module |
35 | 吸着層 | きゅうちゃくそう | 膜透過流束に対し、大きな抵抗を有する膜表面上に吸着された供給液中の溶解高分子量物質等の層。 | absorbed layer |
36 | 供給液 | きょうきゅうえき | モジュール供給される被処理液。 | feed |
37 | 供給ポンプ | きょうきゅうぽんぷ | 供給液をモジュール内に加圧供給するポンプ。 | feed pump |
38 | 強制透過型膜バイオリアクター | きょうせいとうかがたまくばいおりあくたー | セラミック等厚みのある多孔質膜の細孔内に生体触媒を固定化し、基質溶液を強制的に細孔内に流入させ生体触媒と反応させながら透過・分離するバイオリアクター。 | substrate forced flow type membrane bioreactor |
39 | 均質膜 | きんしつまく | =対称膜。 非対称構造を持たず、膜の断面方向に構造変化のない膜。 |
homogeneous membrane |
く | ![]() ![]() |
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40 | critical flux | クリティカルフラックス | 液状食品の膜処理において、透過流束は同温度・同濃度での処理であれば、操作圧力と膜面線速の関数となる。膜面線速を一定にして、かなり低い圧力で運転すると一定の透過流束を持続的に示す。徐々に圧力を高めると透過流束はそれに伴い高まるが、ある圧力を超えると一定の透過流束が持続せず、低下することになる。透過流束が低下しない最大の透過流束をcritical fluxという。 | critical flux |
け | ![]() ![]() |
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41 | ケーク層 | けーくそう | 供給液中の懸濁物質が膜表面上に蓄積されて形成された層。 | cake layer |
42 | ゲル層 | げるそう | 濃度分極により、供給液中の溶解高分子量物質等の膜表面濃度が著しく上昇し、膜表面上に形成されるゲル状の非流動性の層。 | gel layer |
43 | 原液 | げんえき | 原料とされる液。 | raw solution, raw material |
44 | 限界安定透過流束 | げんかいあんていとうかりゅうそく | 溶液の膜処理において、輸送方程式の水透過係数を定数として取り扱える透過流束の上限を限界安定透過流束という。critical flux と同じ。 | critical flux limiting stable flux |
45 | 限界透過流束 | げんかいとうかりゅうそく | 液状食品の膜処理において、透過流束は同温度・同濃度での処理であれば、操作圧力と膜面線速の関数となる。膜面線速を一定にして、圧力を変化させ運転すると圧力の上昇に比例して定常透過流束は高まる。しかし、徐々に定常透過流束の上昇率は低くなり、ある圧力を超えると透過流束は上昇しなくなり、定常値に達する。この定常値を限界透過流束という。 | limiting flux |
46 | 限外濾過法 | げんがいろかほう | 逆浸透法と精密濾過法の間に位置し、分子の大きさにより分離を行う圧力濾過法。通常、分子量で数1000〜数10万程度の領域で分画する方法。(図3参照) | ultrafiltration |
47 | 限外濾過膜 | げんがいろかまく | 限外濾過膜に用いる選択透過性の膜。(図5参照) | ultrafiltration membrane |
さ | ![]() ![]() |
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48 | 差圧 | さあつ | モジュールの入口圧と出口圧の差。圧力損失および膜間差圧の項を参照。 | pressure difference pressure drop |
49 | 殺菌 | さっきん | 微生物を死滅させるための操作。正確には殺菌操作では、微生物がある程度生存することがある。 | sterilization, pasteurization, disinfection |
50 | 殺菌剤 | さっきんざい | 微生物を死滅させるために添加する薬剤。 | sterilizer, germicide, bactericide |
し | ![]() ![]() |
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51 | 自己阻止型ダイナミック膜 | じこそしがただいなみっくまく | 多孔質セラミックスや焼結ステンレス等を支持体として、処理しようとする溶液を濾過すると、支持体上に溶液中の高分子成分が付着層あるいは目詰まり層を形成し、分離性能を発現することがある。これらの層の溶質阻止性能を利用する膜。溶液成分を利用し、自己と同じ溶液成分を分離しようとするものであるので自己阻止型ダイナミック膜という。 | self-rejection type of dynamically formed membrane |
52 | 支持層 | しじそう | 非対称構造膜の活性層を強度的に支える多孔質な層(図2参照)。 | substrate layer |
53 | 十字流濾過法 | じゅうじりゅうろかほう | 供給液を膜面に沿って流れるように供給し、かつ保持液がモジュール内を連続的に通過するようにしながら行う濾過法(図6参照)。 | cross flow filtration |
54 | 収率 | しゅうりつ | 供給液中の目的物質の量に対する膜処理液(保持液または透過液)中の目的物質の量の割合。 | yield |
55 | 重量減少率 | じゅうりょうげんしょうりつ | 容量減少率の容量を重量に置き換えた値。WRFと略すことがある。 | weight reduction factor |
56 | 循環液 | じゅんかんえき | 供給液側に戻す保持液。 | circulating liquid, circulate |
57 | 循環式連続処理法 | じゅんかんしきれんぞくしょりほう | 保持液の一部を供給液側に循環させながら保持液の一部を系外に取り出す処理方法(図11参照) | feed and breed |
58 | 循環ポンプ | じゅんかんぽんぷ | モジュール内に高速で保持液を循環させるためのポンプ。濃度分極を減少させる効果がある。 | circulating pump |
59 | 純水透過流束 | じゅんすいとうかりゅうそく | 純粋な水の膜透過流束。PWFと略すことがある。 | pure water flux |
60 | 除去率 | じょきょりつ | 阻止率あるいは透過率を表す言葉として使用されることがあるが、これらは、全く、逆のことを意味する。従って、できるだけ使用しないことが望ましい。 阻止率、透過率の項を参照。 |
rejection |
61 | ショックトリートメント | しょっくとりーとめんと | 微生物による膜装置の汚染を防止するため、殺菌剤を一時的に大量にモジュール内に注入し、殺菌および微生物の繁殖を抑制する操作。 | shock treatment |
62 | 浸透圧 | しんとうあつ | 純溶媒と溶液とが半透膜を隔てて接するとき、両液間に生じる機械的圧力差 | osmotic pressure |
63 | 浸透圧差 | しんとうあつさ | 保持液側の浸透圧と透過液側の浸透圧との差。 | osmotic pressure difference |
64 | 浸透係数 | しんとうけいすう | 浸透圧は、一般に、次の式で表わされ、式中のφiを成分iの浸透係数という。 π=RT買モiCi Ci:溶質iのモル濃度〔mol・m-3〕 π:浸透圧〔Pa〕 φi:溶質iの浸透係数〔−〕 R:気体定数〔Pa・m3・mol-1・K-1〕 T:絶対温度〔K〕 |
osmotic coefficient |
65 | 浸透現象 | しんとうげんしょう | 浸透圧の異なる溶液が半透膜を隔てて接するとき、双方の浸透圧が均一になる方向、つまり浸透圧の高い方へ溶媒が移動する現象。 | osmotic phenomenon |
66 | 真の阻止率 | しんのそしりつ | 特定の溶質が膜により透過を阻止される割合を示す値。濃度分極を補正した場合の阻止率で次の式で定義される(図8参照)。 R=(1−Pp/Cm) R:真の阻止率 Cm:膜面における溶質濃度 Cp:透過液の溶質濃度 |
true rejection intrinsic rejection |
す | ![]() ![]() |
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67 | 垂直流濾過法 | すいちょくりゅうろかほう | 供給液は、濾過液の流れる方向と同方向に供給され、かつ、保持液はモジュール内を通過せず、全量濾過される方法。あるいは、いったん供給された供給液は循環されず濾過される方法。濾過残液はすべて膜面に堆積され、保持液は濾過終了後とり出される。全濾過法ともいわれる。 十字流濾過の対称用語(図6参照) |
dead end filtration |
68 | スキン層 | すきんそう | =活性層 ち密層。 | skin layer |
69 | スケール | すけーる | 膜による濃縮や濃度分極により、供給液中の難溶性物質の膜表面濃度が上昇し、溶解度を越えることにより膜表面上に析出した層。 | scale |
70 | スパイラル型モジュール | すぱいらるがたもじゅーる | シート状の膜をのり巻き状に成型加工したモジュールの形式。 | spiral wound module |
71 | スぺーサー | すぺーさー | 膜の間にあり、膜間を適当な間隔に保ち、液の流路を確保するもの。 | spacer |
72 | スポンジボール洗浄法 | すぽんじぼーる せんじょうほう |
スポンジ状の球を洗浄液と共に流して管状モジュールの膜表面を洗浄する方法。 | sponge ball washing |
せ | ![]() ![]() |
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73 | 生物汚染 | せいぶつおせん | 微生物およびこれらの代謝産物により、膜装置内が汚染され、処理液(食品)の品質が低下させられること。膜機能低下は意味しない。 | biological contamination |
74 | 生物的劣化 | せいぶつてきれっか | 膜装置内に生育した微生物による膜の変化、代謝性産物による化学的変化などの生物的原因により膜自身が変化し、機能低下を起こすこと。 | biological degradation |
75 | 精密濾過法 | せいみつろかほう | 0.1〜数μm程度の細孔径の膜により懸濁粒子を分離する濾過法。 | microfiltration |
76 | 全循環法 | ぜんじゅんかんほう | 保持液および濾過液を共に供給タンクに戻し、一定濃度で膜処理を行う方法(図12参照)。 | total circulation |
77 | 洗浄液 | せんじょうえき | 膜機能の回復と装置内の衛生状態管理のため、洗浄を行う時に用いる液。 | cleaning solution, cleaning liquid |
78 | 選択透過性 | せんたくとうかせい | 溶液中の特定な物質またはイオンを選択的に透過させる性質。逆浸透膜は溶質に対して溶媒を選択的に透過する性質を持つ。 | permeselectivity |
79 | 全濾過法 | ぜんろかほう | =垂直流濾過法(図6参照) | dead end filtration |
そ | ![]() ![]() |
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80 | 操作圧 | そうさあつ | 膜処理を行う際、モジュール内の供給液に加える圧力。実用上は、次の式で定義される。 P=(Pin+Pout)/2 P:操作圧 Pin:モジュール入口圧 Pout:モジュール出口圧 |
operating pressure |
81 | 阻止率 | そしりつ | 膜により溶質の透過が阻止された割合を示すものであり、真の阻止率と見かけの阻止率がある。(真の阻止率と見かけの阻止率の項参照) | rejection |
た | ![]() ![]() |
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82 | 耐圧容器 | たいあつようき | =圧力容器 | pressure vessel |
83 | ダイアフィルトレーション 法 |
だいあふぃるとれーしょんほう | =透析濾過 供給液を溶媒(主として水)で希釈しながら、あるいは、あらかじめ希釈しておき、濾過を行うことにより、溶媒と低分子量物質を濾過させ、目的とする物質を精製する方法(回分式 図13、連続式 図14参照)。 |
diafiltration |
84 | 対称膜 | たいしょうまく | =均質膜 | symmetric membrane |
85 | 対数減少値 | たいすうげんしょうち | 透過液中の生菌濃度(Bp)に対する供給液中の生菌濃度(Bf)の比の対数。LRV=log(Bf/Bp)で表される。 | logarithmic reduction value |
86 | 体積減少率 | たいせきげんしょうりつ | =容量減少率 | volume reduction factor, volume reduction ratio |
87 | ダイナミック膜 | だいなみっくまく | 多孔質セラミックスや焼結ステンレス等を支持体として、濾過を行う間に、これら支持体表面に形成される溶質あるいはコロイドの付着層あるいは目詰まり層に溶質阻止性能を持たせた膜。プレコート型ダイナミック膜と自己阻止型ダイナミック膜の2種がある。 | dynamically formed membrane, dynamic membrane |
88 | 滞留量 | たいりゅうりょう | =ホールド・アップ。 | hold up |
89 | 多孔質支持層 | たこうしつしじそう | 非対称膜や複合膜等において、表面のち密層の下部にあり、これを支持する多孔質の層。 | porous substrate, porous sublayer |
90 | 多段処理法 | ただんしょりほう | 直列に複数台のポンプを用い、モジュールを多段に組み合わせて処理する方式。 | multistage treatment |
91 | 端板 | たんばん | 圧力容器両端の蓋板 | end plate |
ち | ![]() ![]() |
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92 | ち密層 | ちみつそう | =活性層(図2参照)。 |
dense layer active layer |
93 | チャレンジテスト | チャレンジテスト | 目的とする事柄を実際に試して、性能・効果を確認することを意味する。膜技術では精密濾過法により無菌化濾過する際の膜の除菌性能を確認するために利用されることが多く、正確には微生物チャレンジテストという。challenge testには、drug challenge test (薬効能試験)やexercise challenge test (運動負荷試験)等があり、多岐に渡る。 | challenge test |
94 | 中空糸型モジュール | ちゅうくうしがたもじゅーる | 中空糸膜を多数束ねたエレメントを使用したモジュール。キャピラリー型モジュール(細管状モジュール)も含まれる(図4参照)。 | hollow fiber (type) module |
95 | 中空糸膜 | ちゅうくうしまく | 中空の糸状に成形した膜。 | hollow fiber (type) membrane |
96 | チューブプレート | ちゅーぶぷれーと | 中空糸膜または管状膜をエレメントに加工するために開口端を固定する薄板。 | tube plate |
て | ![]() ![]() |
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97 | 出口圧 | でぐちあつ | モジュール出口の圧力。 | outlet pressure |
98 | デッドエンド濾過 | でっどえんどろか | 一般的な膜技術で利用される十字流濾過に対比されるもので、従来の一般的な濾過法である。原液は濾過面に供給され保持液は濾過面上にとどまり、濾液あるいは透過液だけが濾材を通過して系外に取り出される方式の濾過法である。垂直流濾過と訳されるのが一般的である。全量濾過あるいは行き止まり濾過、袋小路濾過等と訳されることもあるが、デッドエンド濾過を日本語として利用することが好ましい。(垂直流濾過参照。図6参照) | dead end filtration |
99 | 電気透析法 | でんきとうせきほう | 電位差を駆動力に、イオン交換膜を利用し,電解成分を分離する方法(図1参照) | electrodialysis |
と | ![]() ![]() |
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100 | 透過液 | とうかえき | 限外濾過膜または逆浸透膜を透過した液。 | permeate, filtrate |
101 | 透過係数 | とうかけいすう | 溶媒(主として水)や溶質が膜を透過するしやすさを表す係数。 | permeability coefficient |
102 | 透過率 | とうかりつ | 1から阻止率を差し引いた値で、多くの場合、%で表示される。 | permeability, passage |
103 | 透過流束 | とうかりゅうそく | 単位膜面積を単位時間に透過する透過液量。慣用的な単位としては、L・m-2・h-1(容量流束)または、kg・m-2・h-1(質量流束)が用いられる。 | permeation flux, flux |
104 | 透析濾過法 | とうせきろかほう | =ダイアフィルトレーション。 | diafiltration |
な | ![]() ![]() |
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105 | ナノ濾過 | なのろか | 逆浸透と限外濾過の中間領域の分離を行う膜処理をいい、初期には低阻止率逆浸透あるいはルース逆浸透といわれていた。最近では、ナノ濾過という呼び方が一般的に使用されている。食品分野では、分子量100前後から数1000(1000〜3000)程度の溶質分子を分離する膜技術と定義されている。 | nanofiltration |
106 | ナノ濾過膜 | なのろかまく | ナノ濾過を行う膜。 | nanofiltration membrane |
の | ![]() ![]() |
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107 | 濃縮液 | のうしゅくえき | =保持液。 膜により目的とする特定成分が濃縮された液。 |
concentrate |
108 | 濃縮倍率 | のうしゅくばいりつ | 供給液容量(重量)を濃縮液容量(重量)で割った値。濃縮液に注目する場合は、この語を用いてよいが、透過液に注目する場合は、容量減少率(重量減少率)を用いる方が好ましい。容量減少率(重量減少率)の項を参照。 | concentration factor, concentration ratio |
109 | 濃縮率 | のうしゅくりつ | =濃縮倍率。 | concentration factor, concentration ratio |
110 | 濃度分極 | のうどぶんきょく | 保持液側の膜近傍において、膜を透過しない溶質が蓄積され、溶質の濃度が上昇する現象。これにより、透過流束が低下する。さらに、見かけの阻止率にも変化を生ずることがある。(図7.図8参照) | concentration polarization |
は | ![]() ![]() |
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111 | 排除率 | はいじょりつ | 阻止率と同意に用いられることが多いが、食品関係では、透過率と誤解されることがある。従って、できるだけ使用しないことが好ましい。阻止率、透過率の項を参照。 | rejection |
112 | バクテリアチャレンジテスト | ばくてりあちゃれんじてすと | 一般的に、精密濾過法により無菌化濾過する際、膜の除菌性能を確認するために利用される方法。培養した高濃度の微生物溶液を実際に膜で分離し、その分離性能を測定する方法をいう。 | bacteria challenge test |
113 | バクトキャッチシステム | ばくときゃっちしすてむ | ALFA-LAVAL社が開発した方法であり、十字流濾過によりモジュール内に生じる膜間差圧を均一化することにより、膜面ファウリングをおさえ、膜の分画性能の変化を防止しようとするものである。すなわち、供給液と同様に透過液側にも透過液を循環させることにより透過液側にも圧力損失を起こさせ、モジュール入り口から出口にかけての膜間差圧を均一化することによりモジュール全体の透過流束を一定化することにより膜の分画性能を一定にすることができるとされている。乳業においては、微生物とカゼインの分離に利用されている。 | BactoCatch System |
114 | 反射係数 | はんしゃけいすう | 膜内の輸送現象を説明する不可逆過程の熱力学に基づく輸送方程式に含まれるパラメーターのひとつでσであらわされる。σ=1のときは完全な半透膜、σ=0のときは全く選択性を示さない膜とされる。通常は、1>σ>0の値を示す。逆浸透膜では、σ=1と考えて差し支えないが、ナノ濾過においてはσを考慮する必要がある。 σは透過流束を無限大にしたときの真の阻止率を意味する。 | reflection coefficient reflection factor |
115 | 半透膜 | はんとうまく | 溶媒(主として水)のみを透過させ、溶質を透過させない膜。 | semipermeable membrane |
116 | 反発係数 | はんぱつけいすう | =反射係数 | reflection coefficient reflection factor |
ひ | ![]() ![]() |
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117 | 非対称構造膜 | ひたいしょうこうぞうまく | 分離性能を持つち密層と、それを支える多孔質支持層からなる構造を持つ膜。複合膜および非対称構造膜両者を総称して非対称構造膜という。(図2参照) | asymmetric structure membrane, |
118 | 非対称膜 | ひたいしょうまく | =異方性膜。 分離性能を持つち密層と、それを支える多孔質支持層からなる構造を持ち、同一素材で同一工程で製造される膜(図2参照)。 |
asymmetric membrane, anisotropic membrane |
119 | 平膜 | ひらまく | 平面状の膜。スパイラル型モジュールおよび平面(膜)型モジュール等に使用される。(図4参照) | flat sheet membrane, flat membrane |
ふ | ![]() ![]() |
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120 | ファウラント | ふぁうらんと | ファウリングを起こす成分。食品では、蛋白質や多糖類等の高分子成分であることが多い。 | foulant |
121 | ファウリング | ふぁうりんぐ | 目詰まりや付着層の形成により膜機能が低下するが、この両者の総称。膜自体の構造は変化しない。化学的劣化、物理的劣化さらに生物的劣化により膜自体の構造が変化し機能が低下することを劣化と総称し区別する。 | fouling |
122 | ファウリングインデックス | ふぁうりんぐいんでっくす | 膜ろ過を行おうとする液が、膜にどの程度ファウリングを起こさせるかを示す半定量的な指標の一つ。孔径0.45μmの膜を用いて、圧力2.1kg/cuで、検液を15分間ろ過する。初期及び15分間経過時のろ過速度(f0,f15)を測定し、次式によって算出されたFI値がファウリングインデックスである。 FI={(1-f15/f0)}×100/15 |
fouling index silt density index |
123 | ブースターポンプ | ぶーすたーぽんぷ | 高圧ポンプに必要な吸入圧力を与えるため前段に設置されるポンプ。あるいは、中間で昇圧するためのポンプ。 | booster pump |
124 | 複合膜 | ふくごうまく | 多孔質支持層の表面に、ち密層を別の工程で積層し、多層構造を持たせるように形成された膜。通常多孔質支持層とち密層とでは、材質が異なる。 | composite membrane |
125 | 付着層 | ふちゃくそう | 膜表面上に形成されたケーク層、ゲル層、スケールおよび吸着層等の総称。溶媒の透過に大きな抵抗となるため、膜透過流束は著しく減少する。また、分画性能が変化することもある。 | deposit (layer) |
126 | 物理的劣化 | ぶつりてきれっか | 膜の圧密化や乾燥などの物理的原因により、膜自身が変化し、機能低下を起こすこと。 | physical degradation |
127 | フラッシング (フラッシュ洗浄) |
ふらっしんぐ (ふらっしゅせんじょう) |
すすぎに用いる液を通常の分離・濃縮における運転より高流速で装置内に導入しすすぎを行う方法。 | flushing, flush washing |
128 | プリーツ型膜モジュール | ぷりーつがたまくもじゅーる | ひだ(pleat)状の支持体上に平膜を装着し、膜の表面に原液を供給し支持体方向に透過液を得る形状の膜モジュール。 | pleat type membrane module |
129 | プレコート型ダイナミック膜 | ぷれこーとがただいなみっくまく | 多孔質セラミックスや焼結ステンレス等を支持体として、あらかじめ含水酸化塩や高分子電解質溶液等を濾過しながら、これら溶質あるいはコロイドを支持体上に付着あるいは目詰まりさせた層を形成させ、これらの層に溶質阻止性能を持たせた膜。 | pre-coat type dynamically formed membrane |
130 | プレフィルター | ぷれふぃるたー | モジュールやポンプ等の保護を目的として、流路前段に使用されるフィルター。カートリッジフィルターやストレーナーが使用される。 | prefilter |
131 | 分画分子量 | ぶんかくぶんしりょう | 膜が特定の阻止率で阻止できる最小の分子量。ここでいう特定の阻止率には、通常、90%が用いられており、標準物質としては、ポリエチレングリコールやデキストラン等が用いられている。 | cut-off molecular weight cut-off level |
へ | ![]() ![]() |
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132 | 平均滞留時間 | へいきんたいりゅうじかん | 保持液が装置内を通過するのに要する平均時間。 | mean residence time |
133 | 平面(膜)型モジュール | へいめん(まく)がたもじゅーる | 平膜を平面状に使用するモジュール。通常、スペーサーを使用し、多数の膜を重ねて使用する。(図3参照) | flat sheet (type) module, plate and frame (type) module |
ほ | ||||
134 | ホールドアップ | ほーるどあっぷ | =滞留量。 装置内に滞留する液の容量(場合によっては、重量であらわすこともある)。 |
hold-up |
135 | 保持液 | ほじえき | 膜処理を行ったとき、膜を透過しなかった液。従来、濃縮液と呼ばれるものと同意。食品においては、透過液を製品とする場合があるため、こうした際に、膜を透過しなかった液に対して用いることが多い。 | retentate |
136 | 保持率 | ほじりつ | 阻止率と同意。濃縮液中の香気成分などにおいては、その成分が濃縮液中にどの程度保持されたかを示すことがあり、こうした場合に用いる。 | retention |
137 | ホローファイバー型モジュール | ほろーふぁいばーがたもじゅーる | =中空糸型モジュール。(図4参照) | hollow fiber (type) module |
ま | ![]() ![]() |
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138 | 前処理 | まえしょり | 膜のファウリングや劣化等を緩和するため、膜処理前に原液にほどこす処理。 | pretreatment |
139 | 膜間差圧 | まくかんさあつ | 膜の保持液側と透過液側との圧力差。 | trans-membrane pressure |
140 | 膜寿命 | まくじゅみょう | 膜が所定の性能を維持して使用できる期間。 | membrane life |
141 | 膜面線速 | まくめんせんそく | 膜モジュール内を流れる供給液の平均流速。 | flow rate (flow velocity) |
142 | 膜モジュール | まくもじゅーる | 一本または数本のエレメントを容器に納め一体化したもの。膜モジュールの形態に組み立てることにより膜処理を行うことができる。(図4参照) | membrane module |
み | ![]() ![]() |
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143 | 見かけの阻止率 | みかけのそしりつ | 特定の溶質が膜により透過を阻止される割合を示す値で、通常、次の式で定義される(図8参照)。 Robs=(1-Cp/Cf)×100(%) モジュールの阻止率を示す時には、一般に、次の式で与えられる値を用いることが多い。 Robs={1−2Cp/(Cf+Cr)}×100(%) Robs:阻止率(正確には、見かけの阻止率) Cp:透過液の濃度 Cf:供給液の濃度 Cr:保持液の濃度 見かけの阻止率は、濃度分極を補正した真の阻止率と区別する(真の阻止率の項を参照)。 また、高濃度溶液の場合は、濃度の定義により阻止率が変化することがあるので、この場合は、溶媒基準で濃度を定義するのが好ましい。 |
observed rejection, apparent rejection |
む | ![]() ![]() |
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144 | 無機材料膜 | むきざいりょうまく | 無機材料を膜として使用するもの。セラミック膜、焼結ステンレス膜、多孔質ガラス膜等がある。無機膜ともいう。 | inorganic membrane |
145 | 無菌化濾過 | むきんかろか | 系内の微生物を濾過技術を利用することにより除去し無菌化すること、正確には、無菌の状態に近づけること。 | sterile filtration |
め | ![]() ![]() |
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146 | 目詰まり | めづまり | 供給液中の懸濁物質あるいは溶解性物質が、膜細孔に詰まり、膜透過流束が減少したり分画性能が変化すること。細孔中に立体的に詰まる場合と、膜細孔壁に吸着あるいは析出して詰まる場合とがある。疎水性膜では気体もその原因となる。 | plugging |
や | ![]() ![]() |
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147 | 薬品洗浄 | やくひんせんじょう | ファウリングにより低下した膜機能を回復するため、あるいは、膜装置内の衛生管理を行うために薬品を使用して膜装置内を洗浄すること。 | chemical cleaning |
ゆ | ![]() ![]() |
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148 | 有機材料膜 | ゆうきざいりょうまく | 合成高分子等の有機材料を膜として使用するもの。有機膜ともいう。 | organic membrane |
149 | 有効圧力 | ゆうこうあつりょく | 膜間差圧から浸透圧差を引いた、膜に働く有効な圧力。 | effective pressure |
150 | 輸送方程式 | ゆそうほうていしき | 膜内の溶媒と溶質の透過に関する現象をモデル化し数式として表したもの。一般的に利用されるモデルとして、溶解拡散モデルと非可逆過程の熱力学によるモデルがある。後者は、反射係数を考慮しなければならないため前者と比較してかなり複雑である。ナノ濾過を行う際には反射係数を考慮する必要がある。前者は、反射係数が1である場合を表すもので、取り扱いは容易である。(図8参照) | transportation equation |
よ | ![]() ![]() |
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151 | 容量減少率 | ようりょうげんしょうりつ | 供給液の最初の容量を、処理後の保持液の容量で割った値。濃縮倍率と同意であるが、透過液に注目する場合は、この語を用いることが好ましい。通常VRFあるいはRFと略す。リダクションファクター(reduction factor)という場合は容量減少率をさす。 | volume reduction factor |
ら | ![]() ![]() |
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152 | 乱流促進材 | らんりゅうそくしんざい | 乱流を促進することにより濃度分極を緩和するため、保持液流路内に挿入される機構。 | turbulent promoter |
り | ![]() ![]() |
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153 | 流速 | りゅうそく | 流体の流れる速度(距離/時間) | flow rate |
154 | 流束 | りゅうそく | 単位時間・単位面積あたりに流れる流体の体積あるいは重量({体積あるいは重量/(時間・面積)}) 膜透過流束においては({体積あるいは重量/(時間・膜面積)}) | flux あるいはflux rate |
155 | 流路閉塞 | りゅうろへいそく | 供給液成分等により、保持液流路が狭まり、詰まる現象。 | clogging |
れ | ![]() ![]() |
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156 | 劣化 | れっか | 物理的劣化、化学的劣化および生物的劣化により、膜自身が変化し、機能低下をおこすこと。 | degradation |
157 | 劣化指数 | れっかしすう | 膜透過流束の減少が劣化によって起こったと見なした場合のm値。(m値参照) | degradation index |
158 | 連続処理法 | れんぞくしょりほう | 原液を連続的に供給液タンクに供給しながら処理する方式。 | continuous processing, continuous operation |
159 | 連続濃縮 | れんぞくのうしゅく | 連続処理により特定物質を濃縮する膜処理方式。 | continuous concentration |
160 | 連続分画 | れんぞくぶんかく | 連続処理により特定物質を分画する膜処理方式。 | continuous fractionation |
161 | 連続分離 | れんぞくぶんり | 連続処理により特定物質を分離する膜処理方式。 | continuous separation |